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さらに、半年分を受け取ったところで、長く保管できない。そこで、保安員は、違法とわかっていながら、もらった配給のほとんどを市場に横流しする。しかし、市内の他の保安員も同時に受け取り、同時に横流しするため、安値で買い叩かれる。そして、収入も食糧もない保安員の家族は、たちまち飢えに苦しむ羽目になる。

バツイチ警察官の末路

苦しい事情を抱える保安員が、生活のために庶民からワイロを巻き上げるのは、もはや北朝鮮の「社会構造」ともいえる。逆に言えば、ワイロにありつけない保安員の生活は苦しくならざるをえない。

「保安署の中でも護安課(交通課)、捜査課、監察課に勤務していれば、取り締まりの権限を持っているため、ワイロをせびりやすい。しかし、取り締まり権限のない部署に勤務している保安員は、そんな機会すらない」(RFAの情報筋)

ワイロによる収入がなくても、上役から課せられた「上納金」は収めなければならない。そこで、妻たちが市場で商売し、その穴埋めをするはめになる。つまり「ワイロなし」で、「甲斐性なし」の保安員の一家の大黒柱は、その家の主婦たちというわけだ。

こうした保安員の家庭では、夫婦げんかが絶えず、挙げ句の果てには、生活苦に耐えかねた妻が夫へ離婚を申し出る。保安員に限らず、北朝鮮で女房に捨てられた夫の末路は悲惨だ。給料だけでは食べていけず、生活力もない。商売したくても、男性には市場での商売が許可されていない。まさに、ないない尽くしで、バツイチ男性は「餓死の恐怖」に怯えなければならない。

(参考記事: 「死の復讐」に怯える北朝鮮のバツイチ男性

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仮に、一定のワイロがえられたとしても、保安員の地位は安泰ではない。