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朝鮮労働党第7回大会に際して、北朝鮮歌謡「われら幸せうたう」(原題:この世に羨むものはない)に、金日成賞、金正日賞が授与された。

最高人民会議の常務委員会は、受賞を祝う声明でこの曲について「若さで躍動、飛躍する偉大なる金正恩時代を感じさせる、我が人民が愛する全人民的歌謡」などと表現した。あたかも新曲のように思えるが、実はこの歌、1961年に発表された「懐メロ」だ。

1961年といえば、日本ではフランク永井の「君恋し」、石原裕次郎・牧村旬子の「銀座の恋の物語」、村田英雄の「王将」がヒットしていた年だ。半世紀以上前に発表された懐メロに、金正恩政権が賞を与えたのにはそれなりの訳がある。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、この歌が発表された1960年代、人々は本当に労働党を信じ、忠誠を尽くしていた。

決して豊かではなかったが、食べる心配はなかった。国営商店には選択肢は多くなくとも、安価な商品が並んでいた。

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しかし、80年代から悪化し始めた経済は、90年代後半の未曾有の大飢饉「苦難の行軍」へとつながった。北朝鮮は、経済はもちろんのこと、国のシステムの根幹が破綻してしまった。共産主義の国から、弱肉強食、拝金主義の国になり、人々の指導者や労働党への忠誠心はすっかり色あせてしまった。

金正恩氏は、祖父金日成氏の七光を最大限に利用する政策の一環として、この歌に賞を与え、「古き良き時代」のノスタルジーを巻き起こし、民心を取り戻そうとしたのだ。

しかし、現実は全く功を奏していない。

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北朝鮮では誰でも知っているこの歌は、定番の替え歌ネタだ。「われらが父は金日成元帥」を「うちの親父はドル親父」、「わが住まいは党の懐」を「わが住まいはチャンマダン(市場)」などと歌詞を替えて歌っている。

北朝鮮当局は、「歌」を指導者と党を褒め称え、体制を強化するためのプロパガンダソングとして利用しているが、庶民はお上の失政を「歌」で揶揄、風刺する。戦前の日本人が、軍歌や戦時歌謡の替え歌を歌って、体制を風刺していたのと全く同じだ。お上にバレたら捕まるという点においてもだ。

情報筋は、歌の受賞に対して次のような正論を述べた。

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「何十年も前の懐メロに賞を与えて変な意味を持たせる暇があったら、人民の食糧問題を解決しろ」