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現在の日本のような成熟した社会においては、ヤクザのようなアウトローたちの居場所は極端に狭まっているように見える。暴力団対策法や暴排条例の内容の一部には、「人権侵害ではないか」と思えるものすらある。

しかし、かつては日本の主流社会も、ヤクザの役割に期待したものがあった。李氏によれば、不動産価格が暴騰していたバブル期には、銀行のグループ会社や上場デベロッパーが、「スピード=腕力」に定評のあるヤクザ組織に地上げを頼ったという。

似たような現象は、北朝鮮にも見られる。慢性的なモノ不足のために、国家が計画した経済政策は上手く回らない。そこでは、密輸などの裏ビジネスが潤滑油の役割を果たし、それを仕切るアウトローたちの存在感も大きくなる。私はそのことを、韓国に逃れた北朝鮮ヤクザから直接教えられた。

(参考記事:【実録 北朝鮮ヤクザの世界(下)】社会主義国で「経済ヤクザ」が誕生するまで

しかし権力というものは、社会秩序が安定してくると、脱法行為を生業とするアウトローを疎んじ、切り捨てるもののようだ。それは、北朝鮮も日本も同じだ。これは良いも悪いもなく、そういうものなのだ。