この影響で、党大会に向けて繰り広げられてきた大増産運動「70日戦闘」に関連する建設工事が、未完成のままだ。その理由は、覚せい剤中毒の突撃隊員(建設工事に動員された人々)たちがクスリを入手できず、仕事がはかどらなかったからというから驚く。
金正恩氏は、覚せい剤に対しては厳しく取り締まる姿勢を見せている。ところが、自身の成果にするための事業が、覚せい剤不足によって、滞るという実に皮肉な結果になったようだ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。