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「子供たちを学校に行かせるのが怖い」

数年前に韓国で、校内暴力が社会問題になり、当時父兄の間で子供たちを学校に行かせるのが怖いという話が出たと聞いた。北朝鮮でもこの数年間、こうした言葉が父兄たちの口から出ているという。だが校内暴力ではなく、学校当局が学生たちにさまざまな割当を与えて、いろいろなものを持って来るように強要しているため、このような話をしているそうだ。

北朝鮮の学校の多くが、学生は教育を受けなければならないと純粋に考えてはいない。学生は努力動員の手段だけでなく、外貨稼ぎの手段と見なされている。そのため学生たちは、学校が出しなさいと言ってくる割当に苦しめられるのだ。自分で探して見つけることができる紙くずや古鉄、薄膜(廃ビニール)や、飼料として利用されるイナゴなど、割当量を満たすために子供たちは放課後、町内のあちらこちらを歩き回る。

見つけるのがうまい子供たちは割当量を満たすことができるが、子供の多くは割当量を満たすことができないため、両親に頼っている。両親は仕方なく、お金を出して紙や古鉄を買ってきてやる。このように割当が強要されるため、両親の間で「子供を学校に行かせるのが怖い」という言葉が聞かれるようになったのだ。

父兄は学校から帰って来た子供に、「今日もまた、何か持って来なさいと言われたの」と聞く。心配が先立つのが北朝鮮の父兄の実情である。

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内部消息筋によると、去年の10月に会寧市や茂山郡、穏城郡など国境沿いの中学校で、生徒たちに板1枚とくぎ100本を持って来なさいという指示が出た。

国境を越えて中国に脱出する人たちを阻むために、国境沿いにくぎを打ち込んだ板を埋める作業をするために必要な資材を、生徒たちに準備させたのだった。

北朝鮮政府は2003年秋から2005年まで、「全国土の要塞化」の一環として、全国の中学生から義務的に板やくぎを集めたことがある。有事に敵の特攻隊が降りてくる落下地点にくぎを打ち込んだ板を敷いて、特攻隊の進入を阻むという戦略だった。北朝鮮政府はこうした課題を全て、中学生たちに押し付けてしまっているのだ。

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北朝鮮は国家の事業のために必要な各種の基本的な原資材を、全国の学生を利用して入手している。実際に今年初めに北朝鮮は、「金属の生産で新しい革命を」というスローガンを掲げて、小学校の児童に1人当り古鉄15キロ、中学生には1人当り古鉄25キロという割当を義務的に与えた。

また北の政府は、特産品を採集して外貨を稼ぐためにも学生を利用している。

1980年代から現在まで、毎年中学生に乾燥ワラビ10キロ(生のワラビ100キロを乾かしたもの)や兎の皮1枚を義務的に提出させている。乾燥ワラビを採るために、夏は学生に半月の「ワラビ休暇」まで与えている。

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2000年からは「落花生運動」というものを実施していて、秋になると中学生に落花生を1キロずつ持って来させている。こうして集まったものは全て、国家の外貨稼ぎという名目の下、そっくりそのまま金正日の懐に入るのである。

中学生の努力動員や割当に対する負担は、こうした国家の事業だけに限られたわけではない。

学校の垣根や屋根の修理、本棚、椅子、学校の建設資材全てが学生の負担で賄われる。それだけではない。冬には暖房費が最大の負担としてのしかかる。

北朝鮮では80年代末に原資材が大量に不足して、工場の稼動率が下がり、暖房用の石炭を学校に支援することを中断した。そのため学校は燃料の準備を学生に押し付け、学生が持って来たお金で、個人や工場から木や石炭などを買っているのである。

さらに中学生たちは、「よい仕事」をするために、日曜日も休むことができずに鉄道支援や建設現場の支援など、努力動員に参加させられる。春には「田植支援」、秋には「秋の収穫農村動員」に出なければならない。

こうした実情を、父兄でもある消息筋が嘆いていた。この人は「中学生は国家が育てる『耕作人』だ」と言い、「学生が割り当てられて学校に捧げるものの方が、両親が職場や人民班に捧げる課題よりもずっと多い」と打ち明けた。(続く)