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「いっそ、義務教育が無くなったらいいのに」

「『月謝』を払って勉強させる方がずっとまし」

「11年制義務教育」、「教育の国」と宣伝している北朝鮮社会の父兄たちの、恨みに満ちた声だ。こうした声が上がるのは、北朝鮮政府は義務教育と言って学生の出席を強要しているが、学生は教育を受けられず、国家に動員されて生産手段として利用されているためである。

北朝鮮の教育現場は、もはや教育機関としての意味を喪失し、学校は子供たちを預かる保護所や、学生の労働力を収奪する統制機関に転落してしまった。

満6歳で入学して9歳まで通う小学校は、児童の年齢がまだ低いため、北朝鮮政府のこうした統制もひどくない。これを反映するかのように、中学校(中、高等学校)よりも小学校の出席率の方がはるかに高い。

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小学生の父兄には、子供の世話をするのが大変なので、学校に行かせて市場に行ったり職場に出勤する人が多い。また、小学生は労働の能力や自立性が低いという理由から、国家の努力動員も相対的に少ない。机や椅子を支援されることもあり、児童の出席率はそれなりに高い。

だが、中学校に入学したら生徒の状況は完全に変わる。中学生の時から様々な外貨稼ぎや努力動員のために、物質的な収奪や労働力の収奪が行われる。中学校の多くで、生徒が登校したら午前中は授業をして、午後は各種の努力動員を行っている。努力動員には春や秋の農村支援、国家の工事の支援、堆肥集め運動などがあり、時期ごとに様々な仕事がある。

また割当量を決めて、子供たちに古鉄や紙くずなどを持って来るように強要している。それ以外にも薄膜(廃ビニール)集めやはえ、天道虫などの有害な昆虫捕りなど、学校でさまざまな仕事が割り当てられる。

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毎回動員されるために、子供たちの出席率は下がり、勉強する機会も減る。それだけでなく、自分に与えられた割当量を満たさなければならないから登校できない子も多く、椅子に座って本を開いて読む時間はさらに減ることになる。

生活が苦しい家の10代の子供たちは、生活戦線にも跳び込まなければならない。貧しい家の生徒たちは、動員以外にも市場で商売をしなければならず、二重苦に苦しめられている。一定の期間教育を受けなければならない子供たちが、政府の努力動員や商売のために教育を受ける機会を完全に剥奪されているのだ。

これが北朝鮮の教育の現実である。こうした現実は一層深刻になり、中学生の出席率が下がり続ける理由になっている。一方で、皮肉としか言いようがないが、最近北朝鮮では中学生の出席率が高まる傾向にあるという。

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さまざまな努力動員、外貨稼ぎ事業のため下がる学校の出席率

消息筋によると、2007年から中学生の出席率が、地域や季節ごとに多少の差はあるが、全体的に70%を越えているという。

消息筋はこれについて、「中学生の出席率が高まるようになった背景は、北朝鮮政府が教育現場に適用させた『妙案』のため」と言い、「学生の出席率の責任を父兄に負わせている」と説明した。

消息筋は「去年3月末に党中央委員会の指示文が出て、理由なく長期間欠席させたり、生活難や商売行為などの理由で学生を学校に行かせない父兄は、『3ヶ月間の無報酬労働』または『6ヶ月間の労働鍛錬隊刑』で処罰されることになった」と言い、「実際に去年の秋に学生たちを学校に行かせなかった父兄たちが、保安署や市の党、工場の初級書記に呼ばれて批判書を書かされて、見せしめとして労働鍛錬隊に入れられて処罰された人たちもいる」と伝えた。

消息筋はまた、「今年3月からは学生の出席率が、両親の幹部昇進にも影響を及ぼすようになった」と話し、「幹部やお金がたくさんある家の子供が個人授業を受けるようになって、学校に行かなくなった。そのため、出席率が低い学生の両親が幹部に昇進する時にも支障が出ている」と付け足した。

さらに、「6月に両江道恵山市のチュンドン中学校の校長が、長年いがみあっていたチュンドン共同農場の管理委員長の子供たちの出席率を問題視して、管理委員長が農場の畜産作業班長に降等される事件が起きた」とも伝えた。

北朝鮮政府は、さまざまな努力動員や割り当てのために出席率が下がっていることは見て見ぬふりをしている。また、経済が崩壊して配給が出ないため、子供たちが生活戦線に追いやられていることに対する責任を全て、両親になすりつけている。

消息筋は「上(政府)は学生の教育を心配するどころか、生産手段と外貨稼ぎ手段として利用している」と訴え、「本当に教育を受けさせる意志があるのならば、努力動員を無くして学校の授業を正常に行わなければならない」と指摘した。

また、「子供たちが生活戦線に追いやられているのは全面的に国の責任」とも主張し、「配給がきちんと出て経済がうまく回っていたら、どうして子供たちが生活戦線に追いやられるだろうか。それ以上に、そんなことを望んでいる親がどこにいるだろうか」と問い返した。(続く)