北朝鮮では、4月15日の太陽節(金日成氏の誕生日)、2月16日の光明星節(金正日氏の誕生日)に全国の子どもたちにキャンディやビスケットなどのお菓子が贈り物として配給される。
金日成時代に配給されたお菓子はとても美味しく、子どもたちは「首領様のありがたみ」を噛み締めつつ食べたそうだ。ところが、そのありがたいお菓子も、今の子どもたちからは、背を向けられている。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、4月15日に1キロのキャンディとお菓子が詰められた袋が配給された。ところがこれが非常に不味かったのだ。そこそこの暮らしをしている子どもたちは見向きもしないほどの不評ぶりだ。さらに、金日成時代のお菓子の味を知る親たちからも「不味い」と言われている。
家庭で消費されないお菓子は市場で売られるようになった。1袋1万北朝鮮ウォンから1万2000北朝鮮ウォン(約150円~180円)とかなりのお手頃価格だが、あまり売れないという。
(参考記事:開城工業団地労働者、チョコパイ賭けた必死のバレーボール試合)中国製のスナック菓子で舌の肥えた子どもたちにとって、北朝鮮製の菓子は食べられた代物ではなかったようだ。しかし「不味い」理由には裏があった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面別の情報筋によると、市場での「お菓子」の売買に対して当局が捜査に乗り出した。金正恩氏からの贈り物を売買することは政治犯罪に当たるからだ。その結果、輸城川(スソンチョン)食料工場の職員が摘発された。
この職員は、贈り物のお菓子の原料として国から配給された高給小麦粉を横流しし、代わりにトウモロコシの粉でお菓子を製造していたことが明らかになった。さらにこの職員は、お菓子1キロを6000北朝鮮ウォン(約90円)で市場の商人に卸していたことも判明した。市場では1袋1万2000北朝鮮ウォンで売られていた。
横流しした小麦粉は、輸出用のお菓子の製造に使われていたようだ。当局への上納金を稼ぎだすために、このような手法で外貨稼ぎを行っていたのに、金正恩氏からの贈り物に手を付けていたとあっては重罪は免れないだろう。金正恩氏に一銭でも多く忠誠の資金を収めようとしたのに、逆に処罰されてしまうのだ。