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6日に起きた臨津江の事故は、北朝鮮の黄江ダムの放流によるものだという1次調査の結果が出て、北朝鮮の放流に対する韓国の対策の有無に関心が集っている。北朝鮮が臨津江と北漢江にあるダムの水門を開ける決定を下した場合、対策があるのかということである。

7日現在、韓国政府は北朝鮮の「水攻め」の可能性に対して慎重な態度を見せている。国防部のウォン・テジェ報道官は「北朝鮮の黄江ダム放流が意図的な放流だった可能性について、米韓が緊密に分析している。まだ、北朝鮮による『水攻め』だったと言える兆候はない」と話した。

統一部のヒョン・インテク長官もこの日出席したフォーラムで、「北朝鮮の行動が意図的だったのか判断できる根拠はない」と述べた。北朝鮮が意図的に放流したのかという点が分かれば、「水攻め」だったのかどうか判断できるというのが韓国政府の立場だ。

今回放流した黄江ダムは、貯水量が3億5000万トンの大型ダムだという。臨津江の上流には黄江ダム以外にも3500万トン規模の4月5日ダムなど、5基のダムがある。したがって、臨津江上流で北朝鮮が貯めている水量はあわせて5億トンに達すると考えられる。

だが韓国は、臨津江にダムを1つも建設していない。北朝鮮が黄江ダムを建設した後、02年に韓国政府が臨津江水系水害防止総合対策を確定し、クンナム洪水調節池を建設をしただけだ。これも7100万トン規模で来年6月に完成予定という。

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国土海洋部の関係者は、「黄江ダムよりも規模は極めて小さいが、途中で支流に分散される効果があるため、下流の住民が退避する時間は充分にとることができる。それを考慮して、クンナム洪水調節池の規模を決めた」と説明した。

しかし今回、北朝鮮が黄江ダムの貯水量の1/10に相当する約4000万トンの水を放流したにもかかわらず、人命被害があったことなどを考えると、北朝鮮が意図的に水門を全開した場合など最悪のシナリオを想像すると、韓国の対応能力はゼロに近いという指摘も出ている。

アジュ大学・土木工学科のイ・ジェウン教授は、「水が大量に放流された場合、秒速3メートルのスピードだとヨンチョンまで3~4時間しかかからない。退避する時間があまりない。ダムが完全に崩壊したら、クンナム洪水調節池があっても対応する方法がない」と話した。

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一方、今回の事故は人災であり、管理システムさえ整えば被害は防げるという主張も出ている。

カンドン大学・土木工学科のパク・チャングン教授は、「臨津江周辺では洪水を認知できるシステムが充分に整っている」と説明した。また、臨津江周辺だけではなく、北漢江のダムの放流に対する対策も再検討すべきだと述べた。

03年に完成した北朝鮮のイムナムダムの貯水量は約26億トンといわれている。全斗煥政権の時に、北朝鮮が水で攻撃してくる可能性が考慮されて『平和のダム』の建設が進められ、05年に完成した。最大貯水量は26億3000万トンで、「水攻め」にも十分対応できるという。

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韓国政府の関係者は、「クンナムダムの容量は7000万トンで、今回の黄江ダムの放流量が4000万だったため、大きな問題が起きることなく解決できるだろう。北漢江などで放流した場合には、平和のダムで対応できる」と説明した。

今回は、韓国水資源公社と臨津江建設団の無人自動警報システムが作動しなかったことが大きな事故につながった。これを受けて、今後自動システムの報告装置を2~3重に補強して、軍事地域であることを考慮し、軍が早期に発見した場合には関係機関に通報するシステムを補うことになったという。

また、北朝鮮側のダムの監視も強化することになったと伝わった。さらに、北朝鮮側に臨津江の水害防止と関連し、南北関係者協議を提案することも検討しているという。

だが今回の臨津江事故では、パルダン橋で警戒任務についていた兵士が水位が上昇していることを報告したにもかかわらず、情報が迅速に民間人に伝わらなかったため、民官合同体勢を強化すべきだという指摘も出ている。

国防大学のキム・ヨンス教授は、「対応できるダムを建設しているが、水位が充分ではない。北朝鮮の偶然を装った意図的な挑発行為が発生した場合、被害を最小限にするために民官の統合防衛体制を改めて整える必要がある」と指摘した。

また、「南北対話が再開したら、軍事境界線地域を共同で管理する方法も検討すべきだ。山火事や水害対策などに関する共同管理委員会(仮称)などを設ける必要がある」と提案した。