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太陽政策は元々金正日政権を改革開放に導くという目標を持っていた。

しかし、金正日政権が改革開放に積極的に出なければどうするか、その代案に対する悩みはなかった。太陽政策には金正日政権が改革開放を通じて軟着陸することができるという、検証されていない盲目的な信頼だけがあったのだ。

このため、韓国政府は金正日以外の代案、すなわち代替勢力がどのように形成されることができるのか、また、代替勢力の基盤になる新しいエリートを育成する問題に対しても全く悩みがなかった。

太陽政策、北朝鮮国内の代替勢力形成に無関心

したがって、太陽政策は金正日政権に対する一方的な依存政策だといえる。 金正日牽制勢力の育成に対する無関心と、金正日政権に対する絶対的依存は、金正日が核兵器開発と実験で反改革開放路線を強化する結果をもたらした。

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牽制勢力、代替勢力がない時、その政権はいつでも専横と独裁強化の道を進む可能性が高くなる。たとえ代替勢力が今はないとしても、これから充分に出る可能性があると思うようになれば、その政権の専横と時代錯誤的な行為は弱まる可能性がある。

したがって、北朝鮮の新しいエリートを育成して代替勢力の形成与件を造成することは、金正日以後に備えても絶対に必要だが、現在の金正日政権が自分勝手に出ることを牽制するという意味でも重要な意味を持つ。

ところで問題は、北朝鮮の代替勢力をどのように形成できるかということである。多くの人々が北朝鮮はあまり閉鎖的な社会なので、代替勢力を形成するのが不可能だと信じている。もちろん、北朝鮮のように極悪化した暴力統治が存在して情報を遮断する国家で、代替勢力が形成されることはたやすい事ではない。しかし、完全に不可能なことでもないだろう。

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もし金正日政権の類例ないテロ恐怖政治を制御することができたら、北朝鮮にも代替勢力、反政府勢力の形成が可能だろう。現在、金正日政権は反政府勢力は全て、3代にわたる家族全員を消す政策をとっている。もし韓国社会でも過去の軍事政府が個人本人だけではなく、家族全体を政治犯収容所に監禁して銃殺したら、多くの人々が民主化運動にとびこむのは事実上不可能だったろう。

韓国政府の弾圧下では、少なくともその家族たちは身の脅威を感じることはなかった。そのため、民主化勢力が非合法の空間の中でも成長することができたのだ。また、韓国は開放社会であり、外国のメディアの取材が可能だったし、外国の人権団体、民主化団体の直接的な支援を得ることができた。

北朝鮮の住民、金正日に対する不満はますます高まり

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こうした点から、北朝鮮は現在、地下で民主化運動を展開することも容易ではない。しかし、代替勢力が組職されていないといって、金正日政権に対する北朝鮮住民たちの不満がないと思ってはいけない。実際に、90年代中盤の大量餓死以後、北朝鮮の住民たちの金正日政権に対する不満はますます強まっている。したがって、代替勢力が形成され得る土壌はますます形成されつつあると思わなければならない。

こうした状況では、金正日政権の反政府勢力に対する弾圧が弱まり、北朝鮮の人権に対する国際社会の実質的な監視が可能になれば、充分に代替勢力が形成され得る。したがって、私たちは北朝鮮政権の反人権的弾圧を緩和させ得る努力を同時に展開しなければならない。北朝鮮政権の人権弾圧を弱化させることができる一番良い方法は、北朝鮮人権運動を国際的に展開することだ。

実際に北朝鮮政権は、国際社会の人権圧力に敏感に応じて来た。たとえば、脱北者に対する弾圧を国際社会が持続的に主張すると、北朝鮮政権は脱北者に対する処罰の強度をかなり低めた。このため、脱北者たちはより大胆に国境を越え、こうした脱北者たちによって外部世界の多くの情報が北朝鮮社会に流入された。

北朝鮮政府が日本の拉致被害者送還の要求に屈服したことも、北朝鮮が国際社会の圧力に、時には順応するということを見せてくれる良い例だ。公開銃殺の場合も、2005年3月に公開銃殺現場を撮った動画が流出して、国際社会の抗議が殺到すると、北朝鮮国内で公開銃殺の頻度がかなり減った。

こうした事例は、北朝鮮も国際社会の圧力の例外地帯ではないことを確かに見せてくれている。もう少し組織的かつ体系的に圧力が加えられる場合、北朝鮮国内の人権状況は充分に改善することができるし、反政府勢力に対する弾圧も弱化させることができるであろう。

北朝鮮に代替勢力が形成されることができるようにするためには、北朝鮮の人権問題に対する国際社会の圧力の強化と並行して、民主主義と改革開放の問題に対して、確固な信念を持っているエリートたちを、継続して養成することが必要である。

上で言及したように、今すぐ北朝鮮国内に代替勢力組職を形成して支援する問題は、危険と負担がとても高い。代わりに、近代的な価値観を持っている新しいエリートを養成するように助けることは可能で、多様な方法がある。この新しいエリートたちは、今すぐは組職化されていないとしても、何らかのきっかけが触発されれば、代替勢力を形成することができる広範囲な土壌になるだろう。また、北朝鮮の急変事態の発生の時、守旧勢力よりは近代的勢力が主導的に政権を掌握することができるように、有利な社会的条件を造成してくれるだろう。

海外の北朝鮮留学生スパイを支援せねば

新しいエリート育成のために韓国政府がまずできることは、次の通りである。

第一に、北朝鮮の海外留学生たちを支援するのだ。社会主義圏崩壊以後、北朝鮮の海外留学生の規模はかなり減ったが、相変らず海外留学の行き先は中国が一番多く、ヨーロッパ、オーストラリアなどにも留学生たちがいる。

筆者は中国に留学して来た北朝鮮の学生または教授たちに会って話し合って見たことがある。もちろん、これら留学生たちに対して北朝鮮政府は相当な統制を行っているが、彼らの目と耳を完全にふさぐことはできない。ヨーロッパに比べて政治、経済、文化的水準がかなり落ちる中国でも、大部分の北朝鮮留学生たちは、世の中の変化に対して非常に多くのことを学ぶ。同時に、現在の北朝鮮がいくら閉鎖的なのか自然に理解するようになる。留学に来た学生たちは、海外に出ているという事実だけで、反金正日思想が陰かに育まれるようになっているのだ。

したがって、韓国政府は北朝鮮の海外留学生たちがもっと増えるように、間接的に支援することができる。大部分の北朝鮮留学生は、該当の外国政府の学資金支援をもらって留学に出る。したがって、韓国政府は中国、ヨーロッパなどの政府や学校と協力して、北朝鮮留学生の数を伸ばすための学資金支援をする必要がある。

この学資金支援は、北朝鮮の学生たちに直接提供するのではなく、北朝鮮の留学生たちを誘致する学校に提供して、その学校が北朝鮮の学生たちを支援するという間接的な方式でなければならない。この留学生たちは今すぐではないとしても、長期的に金正日に代わり、北朝鮮を現代化させる新しい人才を形成するようになるだろう。

在中韓国企業の、北朝鮮の人の雇用に政府の支援が必要

第二に、中国を含めた海外で、韓国企業が北朝鮮の人を雇って事業することを、政府が支援して奨励するのだ。 現在、北朝鮮政府は外貨不足で外貨稼ぎ事業を積極的に展開している。ドル儲けになることなら、ある程度の体制の脅威を甘受しても、海外に人力を輸出しようと思う。

中国内にも韓国人たちが北朝鮮の職員を雇って事業する企業等が数箇所ある。こうした業社の職員たちも、北朝鮮の留学生たちのように、海外に出て新しい世の中、新しい価値観を学ぶようになる。IT業種の場合、インターネットに接続して多様な情報を利用したりする。

北朝鮮の人たちの意識の覚醒という側面から見た時、開城工団よりも中国内の事業場がずっと影響が大きい。開城工団は公団だけ存在しており、外部の環境が分かりにくい。 それに比べて、中国に事業場がある場合には、改革開放で北朝鮮に比べて高度に発展した中国社会を直接見られるから、外の世の中に対する理解度がずっと大きくなる。

したがって、中国で北朝鮮の人たちを雇って事業しようと思う韓国企業等には、韓国政府が会社設立問題、北朝鮮の人へのビザ発給問題など、さまざまな支援サービスを強化する必要がある。

在中脱北者教育事業の強化

第三に、韓国政府だけでなく、民間ができる役目もある。 その一つが中国内の脱北者に対する教育事業を強化することだ。

この間、中国内の脱北者たちに対する韓国の民間団体(大部分が宗教団体)の役目は大きく二つだった。 一つは韓国に来たがる脱北者たちを、韓国に来ることができるように手伝うこと。もう一つは、北朝鮮に家族がいたり、中国に残っていたがる脱北者たちに対する身の保護だ。宣教師たちを含めた民間団体は、これらの脱北者たちの身の安全のためのシェルター(shelter)と、生存に必要な最小限の物質的支援をした。ここで宣教師たちは、脱北者たちに聖書など、宗教教育をさせる場合がたびたびあった。

しかし、これからは脱北者たち、特に、北朝鮮に家族がいて北朝鮮に帰ろうと思う脱北者たちに対しては、教育事業が強調されなければならない。教育内容は大きく三種類である。コンピューターなどの職業教育、民主主義、人権、 改革開放問題に対する市民素養教育、外国語(特に中国語、英語)の教育だ。

中国を行ったり来たりする脱北者たちは、北朝鮮の住民たちの中ではそれでも外の世の中を早く見た人々だ。したがって、住民たちの平均的意識において、開放、改革の意識が相対的に高い。韓国人たちに対しても拒否感が高くない。これら脱北者たちは、金正日政権以後、今後の北朝鮮の社会が改革開放の道に行く時、北朝鮮の住民たちの意志を下から集めることができる、地域の働き手になることができる。したがって、これら脱北者の教養水準を高めることは、現在、金正日政権の代替勢力が形成され得る土壌を作るという意味でも重要であり、今後、北朝鮮社会の改革開放の主導力になリ得るという点においても重要である。

中国で結婚した脱北者の合法的滞在を可能にせねば

脱北者の中で、中国人と結婚して子供を生んで暮す人々は、特別な注目を要する。(社)良き友など、脱北者支援団体は、彼らの規模を数万人と推算している。彼らは韓国へ来るか、そうでなければ再び北朝鮮に行くという考えよりは、中国国内で安全が脅かされないで暮らすことが一番重要である。したがって、韓国政府と民間団体は、中国政府と協議して、中国人と結婚して暮らしている脱北者が中国国内で合法的な身分を持って暮らすことができるようにすることが必要だ。

もしこの脱北者たちが中国国内で合法的な身分を獲得して暮すことができるようになったら、彼らは北朝鮮の進歩的変化に重要な役割を果たすことができるであろう。 何よりも、韓国の民間団体はこうした脱北者たちに自由に会える。また、彼らの多くは、北朝鮮に知り合いと友達がいるから、北朝鮮内部にも直接、間接的に多くの影響を及ぼすことができる。北朝鮮の変化の一種の前進基地のような役目が果たせるのだ。

入国脱北者の国費留学支援

韓国へ来ている脱北者たちが北朝鮮の変化に積極的な役割が果たせるように支援することも必要だ。

現在、韓国には1万名ほどの脱北者たちが定着して暮らしている。彼らの中で、かなり多くは、金正日政権が代わり、改革開放政府ができる場合、再び故郷に帰ろうとする意向を持っていると、把握されている。また、一部は自分が持っている才狽?k朝鮮の再建のために使いたいと思っているだろう。したがって、韓国政府が北朝鮮の未来を考え、これら脱北者たちのリーダーシップと能力をよく育成したら、北朝鮮の再建と統一の過程で、多くの問題をすることができるだろう。

脱北者たちのリーダーシップと能力を培うことができるプログラムとして、脱北者の中から毎年数人ずつ国費留学に送ることも考慮して見るに値する。脱北者たちをアメリカ、ヨーロッパ、日本、中国などに留学させ、世界に触れて、多様な経験を積むようにすれば、彼らの中から今後、金正日以後の北朝鮮の社会が新しく生まれる時に、重要な役割を果たす人が出るであろう。

同時に、韓国人の中にも北朝鮮の社会の変化と再建に関心を持つ人がもっとたくさん排出されるように、大学と大学院過程に、北朝鮮再建プログラム過程を作って教育するように、政府が支援することも必要だ。

北朝鮮が変わるようになれば、試行錯誤をできるだけ減らして、民主主義と市場経済を発展させることができるように、周辺国家で多くの支援をしなければならないだろう。その中でも韓国人は、同じ同胞で言語が通じるという利点があるため、北朝鮮の再建に大きく寄与できるであろう。 したがって、こうした人々をあらかじめ準備して置くことが、長期的に北朝鮮の社会のためにも、そして韓国のためにも役に立つ。

金正日政権は2006年10月9日の核実験で、改革開放に対する事実上の放棄宣言をした。よって、韓国政府はこれ以上の金正日政権に対する全幅的な支援政策を撤回し、その代案を捜す努力をしなければならない。金正日以後に新しい近代勢力が迅速に政権を引き継ぎ、北朝鮮社会の秩序維持に成功することができなかったら、北朝鮮の社会の硬着陸(Hard landing)は避けることができない。

北朝鮮社会が硬着陸(Hard landing)ではなく、軟着陸(Soft landing)できるためには、金正日以後の代替勢力形成に、惜しみない投資をしなければならない。これが、北の社会の代替勢力の形成は決してたやすいことではないが、その努力をあきらめることができないもう一つの理由である。

[河泰慶]
ソウル大物理学科卒/国際経済学博士/SK Telecom 経営経済研究所首席研究員/民間初の対北ラジオ放送、‘開かれた北朝鮮放送’事務総長(現)