失った求心力を高めるため、支持率を回復するため、より強硬姿勢を取るのか、それとも宥和姿勢に転じるのか。または、起死回生の逆転を狙って「南北首脳会談」という最強のカードを切ってくるのか。いずれにせよ、朴大統領の選択肢は多くない。
そして、朴大統領の対北朝鮮姿勢が定まらないうちに、北朝鮮が核実験やミサイル発射、36年ぶりの「朝鮮労働党第7次大会」を無事に終わらせれば、金正恩氏は、いきなり韓国に対して宥和姿勢、対話姿勢に転じることも考えられる。
もちろん、金正恩氏がいくら友好ムードを打ちだそうが、中身が急に変わるはずもない。韓国が対峙しなければなならい北朝鮮は世界有数の独裁国家であり、その頂点に立つのが金正恩氏だということを忘れてはならない。圧倒的な国力差があるから、有利に立てると思ったら大間違いなのだ。
(参考記事:徐々にわかってきた金正恩氏の「ヤバさ」の本質)(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由)
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。