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北朝鮮で、秘密警察・国家安全保衛部(以下:保衛部)と、トップの金元弘(キム・ウォノン)部長に対する評判が極めて悪化しているという。上納金のノルマを達成するため、住民から外貨を絞りとっているからだ。

慈江道(チャガンド)在住の保衛部員の家族は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に次のように語った。

「保衛部系の外貨稼ぎ企業が、金正恩第1書記から北倉(プクチャン)火力発電所の補修工事を任されたが資金が足りず、金部長は各職員に『外貨を稼ぎ4月10日までに上納せよ』との指示を出した」

ここまでの話なら、北朝鮮では特に珍しい話ではないが、驚くべきは上納金のノルマの額だ。

「ヒラ職員が100ドル、課長クラスが1000ドル。そして、市や郡の保衛部局長になると1万ドルだ。保衛部員は、一般庶民よりは優遇されているが、簡単に払える額ではない」(慈江道の情報筋)

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ノルマを与えられた幹部たちは、ありとあらゆる言い訳をして時間稼ぎをしていたが、上部は矢継ぎ早の催促に加え、「能力なき者は保衛部を去れ」と脅しているという。

しかし、多ければ1万ドル、つまり日本円にして108万円という多額の外貨を集めることができるのだろうか。このあたりの事情について、夫が保衛部に逮捕されたという咸鏡北道(ハムギョンブクト)の李福順さん(女性:仮名)は次のように語った。

「理由は明かせませんが、保衛部に逮捕された夫は管理所(刑務所)に収監されました。ある日、保衛部に呼び出されたので訪れたところ保衛部員は『夫を釈放してやるから、代わりに1万ドルをよこせ』と、ワイロを要求してきたのです」(李福順さん)

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保衛部は同様の手口で、3000ドルから1万ドルのワイロを巻き上げようと躍起になっており、多額の外貨を払えそうな人を狙い撃ちにしていると見られる。それでも彼らのタカリに応じられるほどの財産を持った人は非常に少ないだろう。

もちろん保衛部もこうした事情は把握している。それにもかかわらず、阿漕なやり方でワイロを巻き上げようとするのは、ある理由があった。

別の北朝鮮内部情報筋によると、保衛部系の企業が、北倉火力発電所の補修工事に加えて、今シーズンの農業に必要な肥料の輸入も請け負うことになったという。

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この事業をめぐり、保衛部の金元弘部長は、金正恩第1書記に「私どもにお任せください」と大風呂敷を広げたのだ。しかし、肥料を輸入するほどの資金はない。そこで、職員から外貨を上納させ、そのしわ寄せが庶民たちに及んでいるのだ。

保衛部の強引なやり方、そしてトップの金元弘部長に対する庶民たちの怨嗟の声は高まる一方だ。