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北朝鮮では、5月に開催予定の朝鮮労働党第7回大会に向けた大増産運動「70日戦闘」が展開され、鉄増産を達成するために「クズ鉄」の供出が呼びかけられている。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、最近「より多くのクズ鉄を集めることについて」との指示が下された。

この指示に基づいて、工場、企業所だけでなく、小中高、大学に至るまで、大々的なくず鉄集め運動が行われるなか、とんでもないトラブルが発生した。

各世帯ごとに割り当てられたクズ鉄集めのノルマは20キロ。家中をひっくり返しても、到底集められない分量だ。かといって、達成できなければ、自己批判や何らかの処罰を受ける可能性がある。

こうしたなか、学生たちは夜な夜な工場に忍び込み、材料、設備、生産された製品を盗み出す事件が続発している。ただし、クズ鉄集めの工場窃盗事件は、今にはじまった話ではない。

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工場側は、対策として、退役軍人を保衛隊(警備員)として雇い、工場の警戒に当たらせた。

ところが、ある時、保衛隊が、窃盗に入った学生をとっ捕まえてタコ殴り。これが、さらなる問題を引き起こす。

警備員にボコボコにされた学生の両親や親戚たちが工場に押しかけて「うちの子どもに何をしてくれたんだ!」と抗議。ひるまない保衛隊たちとの間で大乱闘が繰り広げられた。

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さらに、両親らは、学校や地区の労働党に押しかけて次のように激しく抗議した。

「子どもたちに『くず鉄を持って来い』と行ったら、どこに行くかわかっているだろ?学校は泥棒養成機関か?」

生徒たちのくず鉄盗みはエスカレートしており、道端に停めておいたベビーカーなどを盗むのは序の口だ。挙げ句の果てには鉄道車庫の客車まで破壊する事件を起こしていた。

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まるでコントのような光景だが、これによって引き起こされた結果は、決して笑えるものではない。

中国で1958年から1961年まで繰り広げられた「大躍進運動」の最中、「米英を追い越せ、追い抜け」を目標に、全国からくず鉄を集め、全人民が鉄鋼生産に当たった。

しかし、生産された鉄の約6割は使いものにならない粗悪品だった。それを作るために山の木を切り倒し、鉄製の農機具まで供出させたため、大凶作に陥り、数千万人の餓死者を出す大惨事を引き起こすこととなった。

半世紀前の悲劇と似たようなことが、北朝鮮では未だに繰り広げられているのだ。