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中国遼寧省丹東市にある「虎山長城」は、明の時代に建てられた万里の長城の東端で、観光客も非常に多い。北朝鮮領とは、幅わずか数メートルの鴨緑江の支流を挟んで向かい合っている。

この近辺で、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の国境警備隊所属の兵士による物乞いが続出していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

虎山長城のそばで食堂を営んでいる住民の一人は、次のように証言した。

「夜に店を閉めると、北朝鮮の国境警備兵が、わざわざ警備艇に乗ってやって来るんだ。そして『食べ物をくれ、タバコをくれ、ビールをくれ』など、次々と要求してくる」

この住民によると、知らないふりをすれば、懐中電灯の光を当ててきたり、窓ガラスに石を投げたりするので、仕方なく要求に応じているとのことだ。

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「しばらく来ない時期があっても、思い出したようにまたやって来る。もう店を売り払って引っ越したいよ」(食堂を営む住民)

同じ村に住む別の住民も、北朝鮮の国境警備兵の要求を突っぱねたため、川に停めておいた漁船からエンジンや部品を盗まれたり、網を切られたりする嫌がらせを受けた。

この住民は、「中国メディアで報道されないだけで、国境付近のどの村も事情は同じだろう」と述べる。

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北朝鮮軍による被害は続出していると見られるが、中国の辺防部隊(国境警備隊)は住民保護のための措置を取らない。兵力も少なく、北朝鮮との衝突を避けようとするため、強盗殺人事件などの凶悪犯罪が起きない限りは動こうとしないのだ。

そもそも、こうした事件に限らず中朝国境の中国側では、凶悪事件が多発している。

2014年12月には、吉林省和龍市の村の民家に北朝鮮軍の兵士が押し入り、4人を殺害し。カネを奪って逃げる事件が起きた。また、去年4月にも同じ和龍市で北朝鮮軍の兵士が強盗殺人事件を起こしている。

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平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋によると、国境地域に配属された兵士たちは、成分(身分)がよく、強力なコネを持った家の息子たちだ。国からの配給も多く、脱北や密輸の幇助で小金稼ぎができるなど、他の部隊に比べれば状況がマシだからだ。

それでも物乞いをせざるを得ないのは、配給が滞り食べ物がなかったり、上官から要求された上納金を稼ぐためだ。また、除隊後の生活資金を稼がなければならないという事情もある。

また、最近金正恩氏の指示で国境警備が強化されたことで、脱北や密輸が難しくなったことも一因と考えられる。