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北朝鮮の秘密警察、国家安全保衛部(以下、保衛部)は反体制的な動きや思想を取り締まるのが本来の任務だ。その一方で、最近になって北朝鮮では違法業種である「ヤミ金」の取り締まりに乗り出したという。

業者の厳しい取り立てによる事件が多発している現状に加え、保衛部の権力が強大化しつつあることが背景にある。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、保衛部は109常務を通じて「品物を担保にした金銭詐欺師を厳罰に処す」との布告を出した。

109常務とは、韓流ドラマなど違法な映像を取り締まる目的で人民保安部(警察)にできた組織だ。109常務とその傘下にあった「テブ貿易会社」は、昨年保衛部の手中に収まった。それ以来、109常務は違法な映像のみならずヤミ金も取り締まりの対象としている。

しかし、本来人民保安部が捜査や取り締まりを担当するべき経済犯罪に、保衛部が乗り出したことに対して、他の司法機関の幹部の間からは、保衛部の越権行為がよりひどくなるのではないかと懸念する声が上がっている。その反面、住民からは歓迎する声も聞かれる。

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北朝鮮の刑法113条では、「高利貸し」が禁止されている。場合によっては、銃殺刑もありうる重大な経済犯罪だ。しかし、トンジュ(金主、新興富裕層)は、権力者の庇護のもとで、大々的にヤミ金業を営み、財力を蓄えてきた。

担保は家や土地だが、返済に行き詰まると取り上げられてしまう。また、悪徳保安員(警察官)が加担し、厳しい取り立てが行われており、様々な事件を引き起こすなど、社会問題の様相を呈している。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、2月20日に清津(チョンジン)市松坪(ソンピョン)区域の月浦洞(ウォルポドン)で、夫が妻を殺す事件が起きた。

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殺害された妻は家を担保に、貸金業者から中国人民元で5000元(約8万7000円)相当のサッカリンを販売目的で受け取った。しかし、売れ行きが悪く、返済に行き詰まると業者は家を取り上げてしまった。それに怒った夫が妻を殺害したというものだ。こうしたヤミ金トラブルは後を絶たない。

平壌では今年2月、1000ドル(約11万3000円)の借金が膨らみ、悩んでいた女性がマンションから飛び降り自殺を図る事件が起きた。ヤミ金による弊害が度を越したとの指摘がなされている。

情報筋は、保衛部が越権行為を行っているのは間違いないが、それはお上の間の問題であり、住民の立場からすると、ひどい取り立てを行うヤミ金業者を取り締まってくれる保衛部の方がありがたく感じることもあると述べた。

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北朝鮮の人々から蛇蝎の如く嫌われている秘密警察だが、それをありがたがるほど、北朝鮮のヤミ金問題は深刻さを増しているということだ。