しかし、社会のあらゆる分野で虚偽報告が常態化している北朝鮮では、山から引っこ抜いた木を別の山に植え替えたりする手法で、適当な数合わせが繰り返された。そのせいで、むしろ森林面積が減少してしまった。
そもそもこの植林事業、日にちの設定から間違っている。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、当局から「70日戦闘に合わせて木の苗を数十万本植えろ」との指示が出された。それに基づき、植樹が行われるのは、3月2日の「植樹節(みどりの日)」だ。
元々、植樹節は4月6日だったが、国家指導者のエピソードに基づき3月2日へと変更された。金日成氏は、金正淑夫人とまだ幼子だった金正日氏を連れて平壌の牡丹峰(モランボン)に登り、戦時中の松脂取りや軍需用で乱伐されハゲ山になった森を見下ろした。そして「山と野に木を植えることについて」という指示を出した。それが1946年の3月2日だった。