理由は様々あろうが、そのうちのひとつに「人材難」があるのではないかと、筆者は考えている。
哨戒艦撃沈と延坪島砲撃を指揮したのは金正恩氏が軍事学の師と仰いだとも言われる金格植(キム・ギョクシク)将軍だが、昨年5月に死去している。その際の正恩氏の礼遇ぶりは異例のものだった。
(参考記事:正恩氏、きわだつ「報復の老将」への礼遇…軍事的「攻勢」示唆か)しかし今や、金格植将軍のような大物軍人が、北朝鮮にはちょっと見当たらなくなった。そもそも朝鮮人民軍は抗日パルチザンをはじめ、ベトナムや中東の戦場で実戦経験を積んだ「老将」たちが君臨してきた。しかし時代の流れとともに、その多くが鬼籍に入っている。
(参考記事:ベトナムで米軍と「死闘」した北朝鮮の老兵たち)(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘)
また、正恩氏による粛清の嵐の中で、戦闘指揮官のトップが相次いで処刑されたことから、実戦派の軍人たちの間には不満がうっ積しているとの情報もある。
(参考記事:北朝鮮「軍内部で不満爆発」の戦慄情報)こうした条件が重なり、正恩氏が戦争をしたくても出来ない状況ならば、それに越したことはない。