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今年2月の中国の対北朝鮮輸出額は、中国海関総署の統計によると1億6151万ドルに達した。しかし、これは正確な数字ではない。

軍事物資などに限らず日用雑貨、食糧に至るまで、ありとあらゆるものが正規ルートのみならず、ポッタリチャンサと言われる越境行商人や担ぎ屋稼業、そして「密輸」を通じて、中国から北朝鮮へ輸入されるため、その正確な額は全く不明だ。

いずれにせよ、統計以上の数字であることは間違いなく、中朝間の「密輸」は北朝鮮にとって生命線とも等しい。こうしたなか、中国はその生命線を締め上げる動きを見せていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

中国丹東在住の情報筋は次のように語った。

「中国の税関当局が、中朝国境の鴨緑江一帯と河口にある東港地域を中心に、大々的な密輸の取り締まりに乗り出した。以前は、密輸現場に踏み込まれたとしても現行犯逮捕されることはなかったが、今回の取り締まりでは、多くの密輸業者が逮捕されている」

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取り締まり強化の理由について情報筋は「中国の中央政府の指示があったとの話が出回っている」と述べる。

これまで、中国当局は、密輸に関しては見て見ぬふりをしてきたが、最近になって突如、態度を一変させたという。黙認されてきた理由について丹東の別の情報筋は次のように語った。

「鴨緑江流域には密輸で糊口をしのぐ人々が多いため、当局も半ば黙認していた。しかし、中国公安当局は密輸を行っていると疑われる家を訪ねて尋問するなどの調査に乗り出した」

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北朝鮮と取引のある業者によると、北朝鮮は制裁対象となっている物品は、密輸で確保してきた。そのほとんどが軍事目的に転用される可能性が高いという。今回の取り締まり強化は、制裁を徹底して実行するという中国政府の意思が反映されたものと思われる。

取り締まりが続くと、北朝鮮国内の食料品、日常雑貨の物価が急騰するおそれがある。特に北朝鮮で流通する中国産のコメとトウモロコシに関しては、中国政府は厳しい輸出規制を敷いていることを考えると、ほとんどが密輸されたものと思われる。

食料物価が上昇すると、食糧難に陥りかねない。90年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のような状況となれば、脱北者が急増する可能性もある。