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国連で対北朝鮮制裁や史上最大規模と言われる韓米合同軍事演習の余波で、北朝鮮国内では「戦争が起きるのではないか」という不安が拡散し、一部では物資の不足、売り惜しみ、買いだめなどの現象も起きている。

こうしたなか、北朝鮮当局は社会不安を打ち消すため、ある「ウワサ」を意図的に流しているようだ。

デイリーNKの咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると清津(チョンジン)市内の水南(スナム)市場と浦港(ポハン)市場を中心に、次のような「噂」が流れているという。

「世界のどの国も水爆を持っている国とは戦争をしようとしない、そんな国と戦争すれば破滅は避けられないから、北朝鮮と戦争しようという国はないだろう」

しかし、情報筋は「これは住民の動揺を防ぐために意図的に流された噂」と明かした。

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北朝鮮の保衛部(秘密警察)には、体制の結束に有利な世論を作る任務を担った「口コミ部署」が存在する。軍、様々な機関の職員、一般住民を対象に、様々な「噂」を拡散させる。同時に、労働党の決定事項や指示をまとめた小冊子を作り、社会全般にばら撒く。

「市場で流れる噂については、たとえどんな小さいことであっても徹底的な調査を行うのが普通だが、なぜか『水爆が戦争を防ぐ』という噂に対しては調査が行われていない。これはつまり、当局が意図的に流したものだからだ」(情報筋)

こうした噂に対して、住民の反応はやはり冷めているという。

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咸鏡南道(ハムギョンナムド)の別の情報筋によると、同じような噂は現地でも流れてはいるが、住民の間からは「だからどうした?」「戦争でも起きればこの嫌な現実から抜け出せるのに」「戦争を起こしてでもこんな体制は終わらせたい。死ぬまでこんな暮らしをさせられるのは嫌だ」という反応が聞かれるという。

また、「先制攻撃で、米国と南朝鮮(韓国)の首脳部を撃つ」などと騒ぎ立てながら、一方で不安心理を抑えるために、コソコソと「水爆があるから戦争は起こらない」と噂を流す当局のやり方に「むしろ住民の不安感を煽っている」と情報筋は批判した。