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北朝鮮の金正恩第1書記は元旦、今年の施政方針に当たる「新年の辞」を肉声で発表したが、日韓の主要メディアの中には彼が「南北対話に意欲を示した」などと書いたものがあった。対話に意欲どころか、その直後に核とミサイルでそんなムードが完全に吹っ飛ばされたのは周知のとおりだ。私には、あの内容のどこが「対話に意欲」なのかさっぱり分からなかった。

(参考記事:新聞記者は金正恩「新年の辞」を読まずに記事を書いている?

もっとも、それが単純なミスによるものなら仕方ない。より問題なのは、マスコミが言うべきことを言わず、それにより世論や政策を迷走させている部分があることだ。

(参考記事:新聞記者の「かまとと」が拉致問題の解決を遅らせる

北朝鮮の人権問題への言及が少ないこともまた、世論の目を曇らせている。しかも、北朝鮮自身が「暴走」の理由に人権問題を挙げているにもかかわらずだ。

(参考記事:北朝鮮「核の暴走」の裏に拷問・強姦・公開処刑

朝鮮半島情勢は今後ますます、危機の度合いを深めて行く可能性が高い。そんなときだからこそ、マスコミは慎重かつ深層をえぐる報道を心掛けるべきではないのか。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記