北朝鮮の住民も、外の世界に対する興味はつきない。最近は韓国やアメリカの映画が入ってきて、こうした欲求を解消しているが、映画は映画に過ぎず現実ではないため、興味は膨らむばかりだ。外の世界を直接見たりインターネットや本を通じて思う存分学ぶことができないため、北朝鮮社会には誤解された常識もたくさんある。

北朝鮮でもっともらしく話されているこうした説や陰謀説は、平均的な科学水準にも達していない。だがこうした問題は、うわさを作り上げた住民たちではなく、こうした関心と好奇心を解決することができないように強制的に阻んでいる金正日に責任があると見るべきだろう。外国の文化に接することができない北朝鮮の住民たちは、外国の人と外国の生活習慣に関する話を知りたいと思っている。

また、外国に対する常識をたくさん知っている人であればあるほど、住民の間で博識な人だという評価を受ける。北朝鮮の住民が考えている、外の世界に対して勘違いしている常識を10種類まとめてみた。

1） アメリカには実際に宇宙人を陳列している博物館がある?

UFOに関するうわさは、北朝鮮でもたくさん出回っている。北朝鮮の住民はUFOのことを「飛ぶ円盤」と呼んでいる。北朝鮮で「飛ぶ円盤」を見たという人はいないが、アメリカやドイツなどに「飛ぶ円盤」が集団で現われたといううわさはたくさん広まっている。

これと関連して、アメリカには墜落したUFOに乗っていて死んだ6人の宇宙人を、ガラス製の展示台の中に陳列した博物館があり、そのうち3人は本当の宇宙人で、残りの3人は宇宙人とまったく同じように作ったロボットだという話がある。

宇宙人とロボットを区別する方法はとても簡単だ。宇宙人には肛門があるが、ロボットには肛門がないという。

2） アメリカは爆弾1発で全国が火の海になる?

アメリカがどうして戦争を恐れているのか。北朝鮮の住民たちは、その原因はアメリカ全土の都市にガス管が敷かれたからだと話している。北朝鮮の住民は、韓国にも都市ガスが敷かれているという事実を全く知らない。アメリカだけが世界で唯一、都市ガスがある国だと思っている。

アメリカは都市ガスが普及したため、消防施設は特別によく整っているが、それが自国内で戦争が起きることを一番恐れている原因だと北朝鮮の人たちは言っている。

アメリカ全体にガス管が敷かれているため、爆弾が1発爆発しただけでも、アメリカ全土が火の海になるというのだ。そのため、アメリカは自国に爆弾が飛んで来ない、遠くの力の無い国だけを選んで戦争していると話している。

だが、北朝鮮にはアメリカまで飛ぶミサイルがあるため、アメリカは絶対に北朝鮮を相手に戦争できないとも言っている。

また、アメリカが北朝鮮を相手にして戦争ができない原因について、キューバに北朝鮮のミサイル基地があるからだと言う人たちもいるという。

元々、キューバにソ連のミサイル基地があったが、東欧圏が崩壊してソ連が基地を撤収して、代わりにキューバの要請によって北朝鮮のミサイルが運ばれたと学んでいるからだ。

キューバのミサイルを管理しているのは金平日で、金平日がキューバの核基地を管理するためにキューバ大使になったと思っている。実際には、金平日はポーランド大使である。

3） モンゴル人はイカを食べられなければ死ぬ?

北朝鮮ではイカのことをタコと呼んでいる。ここではイカについて述べるので、混同しないようにご注意ください。北朝鮮では、イカ1杯が米1キロと同じ値段で売られている。値段が高いため、一般の住民はイカを買って食べることを想像すらできない。

北朝鮮では、イカはほとんど中国の人が獲って行くと考えられている。また、中国の人が持って行くイカは全て、モンゴルに再び輸出されると信じている。

中国も海がある地域が少ないため、中国の人も海産物の値段が高くて、なかなか食べることができないと思っている。イカを買っていく国はモンゴルで、モンゴルの人はどれだけ値段が高くてもイカを食べられなければ死ぬといううわさがある。

モンゴルは海がない国だから、モンゴルの人が一番恐れている病気は土疾病だ。だが、イカを食べれば土疾病にかからないという。そのため、モンゴルの人たちは値段が高くても仕方なくイカを買っていくという。

これ以外にも、モンゴルの人は羊を主食として食べるので、女性が太って子供を生むことができない。そのため、モンゴル政府は子供を3人生んだ女性に、「母性英雄」の称号を与えるといううわさが広まっている。

4） 世界で入れ歯の技術が一番発展した国は「キューバ」?

北朝鮮の一般の住民の間では、キューバが世界でも入れ歯の技術が一番発展した国だといううわさが広まっている。キューバは砂糖が一番多く採れる国だ。北朝鮮の住民は「キューバには天然の砂糖きびが多く、道を歩いている時にお腹がすいたら、周りに自然に生えている砂糖きびを切って、汁を吸えば砂糖水」と言っている。

キューバの人はそれだけたくさんの砂糖を食べるので、歯が早く使えなくなる。そのため、キューバの人は5歳になったら歯を全て抜いて入れ歯をはめると、北朝鮮の人たちは考えている。

すべての住民が入れ歯をするので、キューバの入れ歯の技術は特に発展していて、世界のお金持ちは歯が使えなくなったらみんなキューバに行って、入れ歯を入れると思っているのだ。（続く)