国連安全保障理事会で採択された北朝鮮制裁によって、北朝鮮外交官による相次ぐ違法行為が困難になると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

北朝鮮と外国を行き来するには、陸路でも空路でも中国またはロシアを経由せざるを得ない。合法、違法問わず北朝鮮の外交官が稼いだ外貨は、この両国、特に中国を通じて北朝鮮に持ち込まれる。

中国経由で100万ドル単位を持ち込み

中国税関の規定によると、出入国時に2万元または5000ドル以上の現金を所持している場合は申告が義務化されている。もし、銀行が発行した「外貨携帯証明書」がない場合、税関に押収される。1万ドルを超える外貨の持ち出しは、原則禁止だが、匿名を要求した北朝鮮の元外交官は次のように語る。

「中国経由で数百万ドル単位の外貨が北朝鮮に持ち込まれたケースもある。中国の税関では、外交官パスポートを見せると難なく通関できたためだ」

今回の制裁には、中露が同調しており、多額の外貨を人の手で運搬する行為を処罰するための条項が設けられている。

また、制裁を逃れようしたり、違反活動に関連した北朝鮮外交官や、関与した第3国の人間も追放するとしている。

外交官が麻薬や葉巻たばこの密売

こうした制限は、北朝鮮の外貨稼ぎにダメージを与える可能性が高い。そもそも、世界各国に駐在する北朝鮮の外交官は、本来の業務そっちのけで、外貨稼ぎに熱中していると北朝鮮の外交事情に詳しい情報筋は語った。

「メキシコとブラジルに駐在する北朝鮮の外交官は、大使館の仕事を放り出して、金儲けに熱中している。また、インドネシア、カンボジアの北朝鮮大使館は、外交官に麻薬や葉巻たばこの密売で儲けた外貨を帰国する外交官に持たせて入国させる」

一度に多くの外貨を中国から持ちだそうとすると摘発されるおそれがあるので、少しずつ分けて運ばせるのだ。これは中国と香港、ラオス、ベトナムなどを行き来する担ぎ屋が使っている手法だ。

北朝鮮外交官の摘発が相次ぐ

昨年5月には、バングラデシュで北朝鮮の大使館員がバイアグラの密売で摘発された。南アフリカではモザンビーク駐在の北朝鮮外交官やテコンドーの師範が、サイの角を密輸した容疑で逮捕されるなど、密輸、密売などの違法行為が後を絶たない。

さらに、5万人に及ぶと言われている海外に派遣された北朝鮮労働者も、違法行為に加担させられている。

昨年10月、クウェート警察当局は、大規模な酒の密造、密売を行っていたとして北朝鮮労働者22人を逮捕し、密造酒400本と樽入りの酒9700リットルを押収している。彼らは1.5リットル入りの酒1本を3ドルで、他国出身の外国人労働者などに販売していた。

クウェートでは3000人の北朝鮮労働者が建設現場で働いているが、金正恩氏に捧げる「忠誠の資金」を厳しく催促され、密造酒に手を出したものと思われる。

「史上最強」と言われる今回の対北制裁が、北朝鮮による一連の違法行為にどれだけダメージを与えられるかが注目される。

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