無論、そうして医薬品を揃えるためには相応の元手がかかるため、治療費は高額にならざるを得ない。
だが、国営病院に行けば無料かというとそういうわけでもない。たとえば帯状発疹の場合、通常の治療費13万ウォンに加えて、課長、病院の幹部、医師、看護師などに「賄賂」を渡さなければならないので、結局は高く付くのだ。
庶民たちは「国営病院でも結局は金を払わされる。どうせ払うなら丁寧に診てくれる開業医の方がいい」と、北朝鮮の誇る「無償治療」の現実を皮肉っているという。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。