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北朝鮮は、世界的にも珍しい国内移動の自由がない国だ。「通行証」がなければ隣の町に行くことすらできない極めて閉鎖的な社会だった。ところが、草の根市場経済化が進むに連れ、ビジネス目的で移動を繰り返す人が急増した。

民営バスのドライバーは、あらかじめ検問所の担当者にワイロを渡し検問を避けることで、お客を集めていたが、最近再び移動への統制が強まってきた。その詳細を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は語る。

「最近、国境地域へと向かう道路の検問が突然強化された。清津(チョンジン)から中国国境の南陽(ナミャン)まで検問所が11ヶ所にあったが、最近急に13ヶ所に増やされた。非常に厳しくて、正式に発行された通行証を持っていても、2日も通してもらえないケースがある」

当局は「外国から伝染病のウイルスが流入しないように」との説明をしているが、どうも真の理由は別のところにあるようだ。それはワイロ。

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検問所は保安署(警察署)所属、保衛部(秘密警察)所属など、それぞれバラバラで、違法な物を持っていて見つかった場合、見逃してもらう方法もそれぞれ違うが、大抵の場合はワイロで済ませる。ところが、取り締まりの強化で、ワイロの額が高騰しており、検問所ごとに払うと、儲けが残らないほどだという。

検問は民間人のみならず、国の役人に対しても行われる。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、貿易局の車両ですら検問所を通過するのに一苦労する有様だという。特に中国から輸入した物品を積んでいる車両は、運転席から車の底の細かい部品に至るまで細かく点検する。

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もはや嫌がらせと言ってもいいほどのレベルだが、一部では5月に予定されている朝鮮労働党第7回大会で使う資金を集める「70日戦闘」の一環として、検問が強化されているのではないかという見方も出ている。つまり、検問を厳しくし、事細かくイチャモンを付けて、ワイロを巻き上げようというものだ。実際、ワイロの額は2倍にまで高騰している。

情報筋は「国は外貨が喉から手が出るほど欲しいはずなのに、警察は国の外貨稼ぎ機関の車まで嫌がらせのように検問を行い、物流に支障が起きている。なぜ国は放置するのか理解に苦しむ」と述べた。

中央政府は、党大会に向けて国内の統制を厳しくするために検問を強化したようだが、末端の警察官は、絶好の金稼ぎの手段として利用している模様だ。