そして、彼の心理について誰よりも冷徹な分析を行っているのは、どうやら北朝鮮国民であるようだ。北朝鮮の人々は体制により「洗脳されている」と見る向きもあるようだが、それは大きな間違いだ。残忍な暴力装置による抑圧には抵抗できなくとも、心の内には独特のブラック・ユーモアを維持しており、権力を揶揄したり風刺したりする思考の自由は失っていない。
(参考記事:金正恩氏が恐れる「北朝鮮ジョーク」の破壊力)そして今回もまた、正恩氏がその餌食になった。朝鮮半島有事が発生した場合、同氏がひとりで「飛んで逃げる」とする冗談じみたデマが拡散しているのだ。正恩氏の飛行機好きに引っ掛けたものではあるが、その一方で、彼が整備させてきた秘密施設も絡めた内容であるだけに、秘密警察が収拾に乗り出す事態にまで発展している。
(参考記事:「有事になれば金正恩は飛んで逃げる」…北朝鮮で広がるデマ)