核実験やミサイル発射の制裁として操業が中断に至ったことは、北朝鮮住民の間で知れ渡っている。つまり、北朝鮮当局の思想教育やプロパガンダが最も通じず、「金正恩氏のせいで我々は貧しくなった」という感情を抱く可能性が、他地域に比べ非常に高いということを意味する。
イ研究委員は「北朝鮮当局は、開城市民を他地域に移住させたり、配給を多く行ったりして不満を抑えようとするかもしれないが、現実的には不可能に近い。制裁が本格化すると中朝貿易も大きな制約を受けることになるので、中国からの投資で、開城工業団地で働いていた5万6000人の従業員を吸収するだけの雇用を創出することは難しいだろう」と述べながら、開城工業団地の閉鎖が北朝鮮に与えるダメージが、国連の経済制裁強化によりさらに大きくなると指摘した。
閉鎖された工業団地に残された設備については、北朝鮮国内のトンジュ(金主、新興富裕層)が再利用を狙っているが、制裁強化により中国からの投資を得るのは困難となり、計画が頓挫する可能性が高い。