アメリカのビル・クリントン元大統領の電撃的な訪朝は、北朝鮮が以前から計画を立てていたもので、それをアメリカに再三要求した結果だったという意見が多い。
国際社会が1つになって強力な制裁を行っている中、アメリカの女性記者の越境は北朝鮮にとってラッキーな出来事だった。
北朝鮮は3月17日にアメリカのカレントテレビ所属の女性記者2人を逮捕した後起訴して、労働教化刑12年を言い渡した。拘束中は在平壌スウェーデン大使との面談だけが許されていた。更に、実際に刑を執行する手続きに入るなど緊張が高まっていた。
北朝鮮はアメリカの女性記者の裁判が終わった後、クリントン元大統領を平壌に呼んだ。状況がここまで整うとアメリカも北朝鮮の要求を受け入れる可能性が高い。北朝鮮は今の制裁局面を打開するために、女性記者問題などがフルに活用できると判断したと見られる。
女性記者問題を協議する米朝間の非公式接触で、北朝鮮は解放の条件としてアメリカに▲謝罪と再発防止を表明すること▲北朝鮮の法律を認めること▲クリントン元大統領レベルの特使を送ることなどを要求してきたという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面アメリカのヒラリー・クリントン国務長官は先月10日に、「記者2人と家族は今回の出来事を大変後悔している。皆が今回の出来事を非常に残念に思っている」と述べ、思いがけないミスに対する北朝鮮の理解を求めた。
北朝鮮が要求した条件の中で、「謝罪と再発防止を表明することと北朝鮮の法律を認めること」は、これまでクリントン長官が様々な形で認めてきた。北朝鮮の要求の核心は自分たちの主張を世界に知らせて、核問題の突破口を作ってくれる特使の派遣だった。
クリントン長官は先月20日にあったABC放送とのインタビューで、記者の問題について「非常に希望的」と発言した。当時の発言も今回の特使派遣を念頭に入れたものだったと考えられる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面クリントン元大統領が記者たちと一緒に帰国できるのかということが問題だったが、2人が釈放され、5日(アメリカ時間)にクリントン元大統領と一緒に帰国することになった。
専門家らによると、何の合意もしていない状況でアメリカの最高レベルの人が北朝鮮を訪問することはあり得ない。普通は実務者の協議が終わり、問題解決のための形式的な手続きだけが残されているという。
一方で、北朝鮮がアメリカから核問題に対して一定の譲歩を得られなかったにもかかわらず、記者を解放することはないだろうという分析もあった。クリントン元大統領の訪朝は単純な解放の手続きではなく、核問題などに関して前向きな合意を得るために北朝鮮が強く希望した結果だということだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ジョージタウン大学のビクター・チャ教授は、「記者の解放は事前に合意していない可能性が非常に高い」と話していた。チャ教授は一方で、北朝鮮はクリントン大統領を呼んだ以上、解放せざるを得なくなったと分析した。
また、「クリントン氏が核プログラムに関して新しい合意書を交渉するために訪朝したとは思えない」と主張した。
北朝鮮は今回のクリントン氏の訪問で、自分の立場を世界に伝える高級スピーカーを確保した。6カ国協議の復帰や核凍結の宣言などで和解のメッセージを伝えて、国際社会の制裁を和らげようとする可能性もある。
また、金正日との会談で健康問題に対する疑惑を払拭することはもちろん、3代世襲も問題なく進んでいると示す可能性もある。
北朝鮮としては、金正日が自ら全面に出て99年のミサイル発射の猶翌?骭セしたのと同様に、象徴的な発表を通じて本格的に和解ムードの醸成に入るチャンスを得た。
94年の1回目の核実験の時も、カーター元大統領が金日成と会談して北朝鮮の核開発を一時的に凍結させ、国際原子力機関の査察団員2人を北朝鮮に滞在させることに合意した。その後、ジュネーブ基本合意書を締結している。
アメリカは核問題と女性記者の問題は分離して対応すると公言しながらも、北朝鮮の要求をある程度受け入れなければならないという現実的な問題に直面していた。
オバマ政権は北朝鮮が信頼できる核廃棄に関する措置を取るまでは、貿易や金融制裁を解除するつもりはないと公言してきた。アメリカにとって記者の解放問題で国際社会が合意した原則を自ら崩すことは難しい。
クリントン元大統領の今回の訪朝で、記者の解放と同時に両国が和解のメッセージを交わすという消極的な結果と、6カ国協議に復帰して2国対話を行うという積極的な結果の間で折衷案が出たのではないかと予想されている。