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世界保健機関(WHO)の2012年の統計によると、10万人あたりの自殺率は、韓国は28.9人で世界2位だ。日本は18.5人で90年代末よりかなり下がったものの依然として高い状況だ。一方、北朝鮮でどれぐらいの自殺者がいるのかは明らかになっていないが、非常に少ないと伝えられている。

その理由として、「自殺は労働党と指導者に対する背信行為」という重大な罪とされていることが挙げられる。

理由を問わず、自殺者とその家族は敵対階層に分類されてしまう。北朝鮮の思想にはキリスト教の影響が強いと言われているが、自殺を罪と見るのもキリスト教と同じだ。

平壌の情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、北朝鮮では、草の根市場経済化が進みつつあるのに、国はそれを認めようともそれに合わせた政策を実施しようとはせず、社会構造がいびつになりつつあることにより、自殺が増えている。

今月5日、平壌の統一通りの30階建てのマンションから、2人の子どもの母親が自殺を図った。女性の夫は海外派遣労働者だったが、高利貸し(ヤミ金)から1000ドルのカネを借りた。

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ところが、利子が元金の3倍に膨れ上がり、返せなくなったのを苦にして自殺を図ったと思われる。昨年にも、200ドルの借金が返せずに悩んでいた人が、大同江で入水自殺する事件が発生している。

北朝鮮の刑法は、113条「高利貸し罪」で「高利貸しを常習的に行った者は1年以下、罪状が重い者は3年以下の労働教化刑に処す」と規定しており、貸金業そのものを違法としている。1997年8月5日の社会安全省(現人民保安部)名義の布告では「場合によっては銃殺刑もあり得る」としている。

ところが、実際にはヤミ金が横行しており、保安員(警察官)も手が出せない。保安員が権力を利用して借金の取り立てを行うケースもある。利子は最高で60%に達する。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の別の情報筋によると、清津(チョンジン)市内の青岩(チョンアム)区域の観海洞(クァネドン)では1月に、一家3人が自殺する事件が起きた。

町内に住む30代の女性は、市場で商売をしていたが、商品の買い出しの帰りに取り締まりに遭い、売り物をすべて没収されてしまった。それを苦にして、山の中で自殺を図ったという。

娘に死なれて悲嘆に暮れていた母親が後追い自殺した。数日の間に妻と娘を失った父親も後追い自殺してしまったというのだ。彼は地域でも有名な模範党員だっただけに、地域には衝撃が広がっている。

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情報筋は「資本主義の国の話だと思っていた『借金苦による自殺』は人々に大きな衝撃を与えている」「商売をしても、海外で働いても、借金が返せるどころか、むしろ利子が増えてしまう」「それを放置する今の社会構造が自殺を煽っている」と説明した。