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2007年4月初め。中国と国境を挟んで向かい合っている咸鏡道ユャ唐ヘ灰色の都市だった。

小川のように細い豆満江を挟んで、中国側では色とりどりに春の装いをした人々が川辺で散歩をする一方、北朝鮮側では厚い灰色の綿入れを着た人々が、生気のない顔で列をなして歩いていた。

幾多の脱北女性が生存のための最後の手段としてこの川を渡った。水面に彼女たちの影が照らされるようで、もの寂しさまで感じられる。

インタビューで会った脱北女性たちに国境地域の写真を見せて、’故郷を思い出さないか’と尋ねた。皆、’ここで暮らすのも大変だが、帰りたくはない’と口をそろえて言った。’世の中が変わらなければ’という条件もつけて。

彼女たちの言葉にもならない事情を聞いていると、心の一隅に穴があくような気持ちになる。人身売買の網に引っかかった脱北女性たちが、中国の男性に売られて経験する性的虐待と暴力は、到底言葉で言い尽くすことができない。

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記者が中国で会った5人の脱北女性は皆、直・間接的な‘人身売買’の被害者だった。本人が売られて来たり、売られて来た女性を見たり、売られて来た娘を捜しに行ったりしていた。彼女たちは人身売買にあった後、一様につらい労働に苦しみ、夫の暴力に無防備でさらされ、強制的に性交渉を求められた。

それ以上堪えられず、身一つで夜逃げを試みるが、再び人身売買団につかまって売られたり、都市の風俗店に連れて行かれた。ここでもまた、数百ウォンで売られる身の上だった。結局、支援団体や教会の保護を受けて、長い人身売買の鎖から脱することができた。

ある脱北女性は、’女性としてどうしても誰にもできなかった話’と言いながら、長い話を打ち明けた。脱北女性の証言の中には、記事にし辛い話も多かった。同じ女性の立場から、’想像さえしたくない’ 無惨な状況だけだった。

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北朝鮮への強制送還の過程での一連の処罰も、女性が経験する中でも最悪の経験の一つだ。隠しておいたお金を見つけるために裸で捜査をして、中国人の種を受けて来たと、姙娠した女性の胎児を強制堕胎させる場合もあった。

記者はインタビューの過程で、こうした脱北女性たちが経験しなければならない恐怖と苦痛の大きさを想像することさえ困難だった。これまでの人生を、数滴の涙と共に淡々と語る女性たちの前で、手を取り合って泣きたかったことも一回や二回ではなかった。しかし、彼女たちは強かった。インタビューの最後に、記者に’帰ったら必ず良いことをしなさい’とまで話してくれたからだ。

この女性たちは、どうしてはるか遠い異国の地で、このような蔑視と侮辱を受けながら暮らさなければならないのだろうか。脱北の行列が始まった時期には、こうした事実はよく分からなかったと言われるが、今は北朝鮮国内でも、中国へ行けば田舍に売られて苦労するという事実が、広く知られているという。しかし、女性たちは相変らず北朝鮮を去って中国に売られている。

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もちろん、人身売買団の口車にだまされる場合もある。しかし、かなり多くの人は、家族を養って兄弟たちを結婚させ、たった一人の息子の商売の元金をまかなうために、数百ウォンというお金のため、自分の身を売ることも多い。

北朝鮮の女性たちは、北朝鮮の食糧難と人権染躪の最大の被害者

大餓死の時期にも、女性たちは家族を生かすために、必死にならなければならなかった。国家の配給制が崩壊すると、市場で商売を通じて生計を立てることも、女性の仕事だった。彼女たちは自分の背よりも大きな荷包みを背負って、数女「の道を歩いて、お金になるものならなんでも売った。

家族を養うため、事実上、一番重要な役割を果たす北朝鮮の女性たちも、相変らず封建的な位階秩序と、女性差別意識の中で暮らしている。こうした女性たちは、家族の生計がせっぱつまると、自分の体を売ってお金を手に入れている。

脱北女性の問題は、北朝鮮の古く病んだ体制が膿みに膿んで、外部に現われた腫れ物のようなものだ。脱北女性の人身売買の問題を解決するためには、体制内部に対する手術が前提にならなければならない。

韓国社会の、中国にいる脱北女性に対する暖かい関心と保護対策も急がれる。現在脱北女性の問題は、私たちに社会の人権の水準だけでなく、良心についても問いかけている。脱北女性の人権問題について黙っている韓国の女性たちも、反省の声をあげなければならない時がきた。