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金正恩第1書記が建設を指示した平壌市内の高層マンション団地「未来科学者通り」。完成後に視察を行った金正恩氏は「本当に格好いい」「すべての建築物が高度に芸術化された」「主体性、民族性、独創性、造形・芸術性が完璧」などとべた褒めしている。

一方、昨年10月10日の朝鮮労働党創立70周年記念日に間に合わせるために、無理なスピードで工事が行われたため、手抜き工事が指摘されている。また、外見は立派だが、暖房設備がなく、入居を躊躇う住民が続出していた。

当局のプロパガンダを信じた人、以前住んでいた家を売り払った人を中心に入居が進んだが、大寒波が到来し、住民の凍死が心配される有様となっている。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、未来科学者通りのマンションのうち、金正恩氏が視察を行った部屋だけはインテリアも完璧に仕上げられているが、他は内装工事が終わっていない状況だ。そのため、部屋には暖房がない。

暖房は、近隣の工場から供給された温水が床下のパイプを流れて部屋を暖めるセントラルヒーティング方式だ。ところが、この設備が整っていないというものだ。部屋は冷凍庫のように寒く、未入居の部屋の中には凍りついているところも多いという。

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弱り目にたたり目で、15年ぶりと言われる大寒波がやってきた。韓国の気象庁によると、1月24日の平壌の最低気温は氷点下18.2度を記録し、市内を流れる大同江は完全に氷結している。

入居が始まったのが晩秋から初冬にかけての季節だったため、電気や灯油がなくても薪で暖房できるように改造する工事をする暇もなく、冬がやって来てしまった。15年ぶりと言われる大寒波の到来で、住民たちは「凍え死ぬ人が出るんじゃないか」と心配しているという。

暖房がないだけでも、とてつもない欠陥マンションだが、人々が入居を躊躇うのには他のも理由がある。

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2014年5月、市内の平川(ピョンチョン)区域の23階建てマンションが突然崩壊し、多くの死者を出す大惨事となった。それからというもの、高層マンションに住むのを嫌がる人が増えているという。未来科学者通りの高層マンションは、金正恩氏の指示からわずか1年半で完成しており、手抜き工事を疑う人も多い。

電力不足も、人々が高層マンションから足を遠のかせる理由の一つだ。

一昨年10月に完成した46階建ての「金策総合工業大学教育マンション」の入居率は、昨年5月の時点で半分に満たない状況だ。20階以上はほとんど人が住んでいないが、停電でエレベーターが来ないためだ。

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また、電気が使えないとポンプが稼働せず、水道も止まってしまうため、バケツに水を汲んで高層階まで上るとなると、大変な重労働だ。

未来科学者通りのマンションにもエレベーターが設置されているが、当局は10階以下に住む住民にはエレベーターを使わないように指示を出している。しかし、停電を恐れて、「そもそも入居しない」という人がますます増えている。