「だからマスコミや政治家などと会う必要もなく、相手からバーターで情報を得るため、こちらの情報を出す必要もない。外部との接触が増えれば、それだけ秘密が抜けるリスクも増す。公安の中には『ヒューミント』(人的情報活動)と称して、記者連中と酒を飲むぐらいしか仕事をしない面々もいるようだが、それでいいのか。週刊誌や小説で面白おかしく取り上げられている時点で、情報機関としては失格だ」(自衛隊OB)
しかし、情報本部が日本で最大最強の情報機関であるなら、日本人拉致事件の多発を止められなかった責任もまた最大ではないのか。実際、情報本部の深奥には、拉致事件多発とからむ「内部事情」が秘められているのである。(つづく)
(取材・文/ジャーナリスト 三城隆)
【連載】対北情報戦の内幕