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北朝鮮の刑法には、「反国家及び反民族犯罪に対する不申告罪」(72条)という条項が存在する。これは、そのような犯罪者を知りつつも「該当機関に知らせなかった者は3年以下の労働教化刑に処す」というものだ。また、73条ではそのような犯罪者を知りつつも放任していただけで処罰されると規定されている。

この条項に基づいて、脱北者の存在を知りつつも通報しなかった住民に対する処罰が行われているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

最近脱北した女性の証言によると、昨年10月、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市で、初級幹部1人を含む家族と大学生7人が、闇夜に紛れ、中朝国境を流れる鴨緑江を渡って脱北する事件が発生した。

規模が大きかっただけに、両江道と中央政府から派遣された保衛部の捜査官が、脱北者の知人を対象に大々的な取り調べを行った。

この過程で、ある知人の妻が、「脱北したことは知っていたが、通報しなかった」と供述し、保衛部に連行された。女性は、半年間勾留されて取り調べを受けたが、脱北を幇助したわけではない。ただ単に「脱北した」と聞いただけだった。しかし、北朝鮮では立派な犯罪になる。

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保衛部は彼女を拘留するだけでなく、家族に対して「中国人民元で5万元(約93万円)払え」とワイロを要求。北朝鮮の一般庶民にとっては天文学的な額だが、家族はなんとか集めて、女性を無事釈放させることに成功した。払えなった場合、女性は間違いなく教化所(刑務所)送りになっていたことだろう。

証言者は、この一家の詳細には触れていないが、5万元ものワイロを支払えることからすると、おそらくトンジュ(金主、新興富裕層)だったと見られる。保衛部は、それを知った上で、当初からワイロ目的で、トンジュを狙い撃ちにした可能性が高い。