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北朝鮮では、公式通貨「北朝鮮ウォン」の価値が低くない、すでに国内では外貨使用が一般化している。平壌市内を走るタクシーでは、北朝鮮ウォンで料金を支払おうとすると露骨に嫌な顔をされるほどであり、その流れは地方の中小都市の市場での少額決済にまで及んでいる。

デイリーNKジャパンが入手した2014年の羅先(ラソン)市の総合市場の内部市場映像には、商品代金を払う方も受け取る方も中国人民元で普通に支払う様子が映し出されている。北朝鮮当局が市場に対する統制を緩和しているからだ。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、緩和は年々進んでおり、市場はこれまで以上に活気を帯びているという。

市場緩和は、労働党、政府が資金を確保しながら、さらに住民からの支持を得ようとする金正恩氏の政策の一環と見られる。すなわち、外貨が枯渇している労働党は、ビジネスの手を広げるトンジュ(金主、新興富裕層)や利権ビジネスに邁進している幹部から、莫大な外貨の上納金を得ようとする。さらに外貨上納金の基礎となる市場を活発化させ、住民に外貨を稼がせようとする狙いだ。こうした背景から、外貨使用が拡散しているのだ。

これまでも、外貨は比較的大きな取引や卸売市場での当たり前のように使われてきたが、市場や露店で「今晩のおかず」を買う際にも使われる。子どもも親にお小遣いをねだる時に「将軍様のお金はイヤ!」と言って、ドルや人民元の小額紙幣を欲しがる。この現象は、地方の中小都市でも珍しくなく、北朝鮮ウォンを使おうとすると「田舎臭い」と言われる。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、外貨使用が一般化しながら、国境地帯の市場では、すべての取引が人民元で行われるようになっている。かつては違法行為で取り締まりの対象だったが、事実上解禁された状態だという。

北朝鮮の外貨稼ぎといえば、海外からお金をかき集めるというイメージがある。しかし、既に国内市場が外貨に制圧されつつあるなか、ビジネスで儲けた外貨が、ワイロや上納金の形で幹部の懐に入り、さらに上の幹部に渡される。そして、その頂点にいるのが金正恩氏というわけだ。