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最近、日本沿岸に北朝鮮の船が漂着する事件が相次いだ。亡くなった乗組員の正体をめぐって様々な推測が飛び交ったが「朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が管理する漁船の乗組員」という見方に落ち着きつつある。

漁船の漂着が相次いでいる背景には、金正恩第一書記が今年の新年の辞で「人民の食卓の上に磯の香りを漂わせねばならない」と水産業の発展を促していることと関係があると見られる。

その一方で、零細漁民に対する取り締まりや締め付けが強化している。漁師たちは、出漁が難しくなった上に、海岸警備隊や地域幹部へのワイロも払わされるため、生計が苦しくなり、他業種への転職が相次いでいる。こうした北朝鮮漁民が置かれている現状を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋によると、東海岸有数の漁港がある新浦(シンポ)市には、ハタハタやタラなどが旬を迎えると、船に乗り込んだり、魚を買い付けたりして一旗揚げようと、全国から人々が集まっていた。

しかし、今ではそういう姿も見られなくなったという。

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浜には大量の錆びた船が係留され、通りを行き交っていた海の男たちの姿も消えてしまった。住民たちが集まっているのは駅前ぐらい。漁に出ても儲からない事情に加えて北朝鮮全体の問題が背景にあるようだ。

北朝鮮の鉄道は、北部は水豊水力発電所、南部は北倉火力発電所の電気で運行されている。どのようなシステムになっているのか定かではないが、電力供給の分かれ目になる新浦駅は、昔から列車が長時間停車することで有名だった。

降水量の減る冬場には、水力発電所がまともに稼働せず、ただでさえ劣悪な電力事情がさらに悪化する。停車時間が伸び、新浦駅には複数の列車が数時間から数日停車するようになった。乗客たちは暖房設備のない列車から降りて、駅舎で暖を取りつつ食事をする。

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かつての漁師たちは、こうした乗客にイモやお湯を売って糊口をしのいでいる。

それでも、漁に出るよりは儲けになるようだ。情報筋は「この状況は、新浦だけじゃないようだ」と、全国の漁師が同様に困窮していると見ている。

北朝鮮当局は、水産業を奨励する一方で、小型漁船の出漁を禁止する措置を取った。相次ぐ脱北や遭難を防ぐ狙いだが、生活の糧を奪われた漁師たちは、市場で商売をしたり、鉱山で働ざるを得ない。

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また中国企業に漁業権を売り払おうとしたり、外国への水産品の輸出を禁止したりと、朝令暮改の漁業政策で、庶民も企業も今も苦しめられている。