85 調査委員会が報告した組織的、広範な侵害の多くは、長期にわたり、現在も進行中である。これは、国際法上の人道に対する罪の証拠として求められる高い基準に相当する。加害者は不処罰を享受している。北朝鮮は、加害者を起訴し、法の裁きの下に置くという国際的義務の履行に消極的であるが、それは加害者の行動が国策に則っているためである。
86 北朝鮮は国連の一員でありながら、数十年にわたり人道上の犯罪に絡む国策を推進してきたことは事実であり、国際社会の対応の不適切さが問題視されている。国際社会は、北朝鮮国民を人道に対する罪から保護する責任を負わなければならない。北朝鮮政府がその役割を負わないことは明らかなためである。特に、朝鮮半島の分断と朝鮮戦争という未解決の遺産により、国際社会(特に大国)が担う役割に応じて、この責任を果たさなければならない。このような不幸な遺産からは、人権状況の難しさだけでなく、なぜ有効な対策を取ることが喫緊であるかを知ることもできる。
87 国連は、北朝鮮で生じた人道に対する罪の首謀者に対し、説明責任を確実に負わせなければならない。この目的を達成するには、安全保障理事会による国際刑事裁判所への事態の付託や、国連による特別法廷の設置等の選択肢がある。説明責任確保のための緊急措置として、人権問題に関する対話を強化し、人的交流による変化の促進、和解に向けた南北間の協議を組み合わせていくべきである。
88 調査結果及び結論に基づき、調査委員会は以下のとおり勧告する。