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シンガポールで最近、北朝鮮の経済官僚らが短期間のMBA研修を受けていたことが明らかになった。米国のワシントン・ポスト紙が伝えたもので、彼らはNGO「チョソン・エクスチェンジ」が主催するミニMBAコースに参加。世界各国の専門家や実務者から、会計、財務、人員管理などを3ヶ月にわたり学んだという。今回は12人だけだが、今までシンガポールなど海外で同様のコースを履修した北朝鮮の関係者は100人、北朝鮮国内で履修した人まで含めると1000人に達するという。

同紙は、研修参加者が仮想のビジネス企画を提案して行うグループ・ディスカッションの様子も紹介。北朝鮮での「メディカル・ツーリズム」(医療観光)を提案した経済官僚が、シンガポールの学生からの予想外の質問に直面する場面などもレポートしている。

元来から「超マジメ」で知られる北朝鮮の秀才たちが、本国の硬直した体制を念頭に置きつつ、そうした経験をどのように消化しているのかが気になるところだ。

北朝鮮は最近、羅先(ラソン)経済貿易地帯の総合開発計画について、投資誘致金額や各種法制を含む詳細を宣伝用ウェブサイト「ネナラ」(わが国)で初めて公表した。誘致総額は1兆9000億円と巨大だが、工場への設備投資に約920万円と小口の案件も示されており、なかなかきめ細かい内容になっている。

ちなみに、羅先の開発計画はハングルのほか英語、ロシア語、中国語で掲載されているが、現時点で日本語版はない。日本政府が北朝鮮との商取引を全面的に禁じている状況下では当然だろう。

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だがもしかすると、北朝鮮の日本に対する経済面での期待は、完全に失せている可能性もある。一部の政治家やメディアは「北朝鮮は日本からの経済支援を期待しており、それをテコに拉致問題を動かせる」との主張をいまだに展開するが、そんな認識はいいかげんに改めた方が良いかも知れない。

話を元に戻す。MBA研修や投資誘致の動きを見ると、北朝鮮はどうやら、経済開放に向かおうとしているようだ――と、思いきや、国内では相反する動向も見られる。

当局が、「改革開放は許さない」という思想教育を強化しているのだ。もっとも一般の国民は、「すでに改革開放は始まったも同然で、今さらどんな手を使って止めようとしてもムダ」と達観しているという。

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確かにその通りで、北朝鮮の計画経済は「草の根資本主義」に浸食されて久しい。その動きは加速する一方であり、権力で一時的に制動をかけることはできても、庶民に「商売の魅力」を忘れさせることは不可能に思える。この現象は、北朝鮮国内における数少ない肯定的変化のうちの最大のものだ。

思想教育の強化は、こうした現象が手をつけられないほど大きなうねりとなることを恐れてのものだろう。そんな当局の「ムダな抵抗」が一日も早く破たんし、変化のうねりが北朝鮮社会の全般に広がる日が待ち遠しい。