裁判を見守っていた被告の家族や市民は、死刑ではなく懲役刑であったことに胸をなで下ろしていたというが、重い刑であることには代わりはなかった。ところが、二審では「刑の白紙化」つまり事実上の無罪が言い渡された。
判決の詳しい根拠は定かではないが、白紙化の理由を法廷は「金正恩元帥様のご配慮」と説明したという。判決を聞いていた一部市民は、驚きと感動のあまり「金正恩元帥様万歳!」と叫びだしたという。まさに金正恩氏の狙い通りのリアクションだった。
金正恩氏は「重大な犯罪者を赦す慈悲深い指導者」というイメージを植え付け、国民からの支持を得ようとしたのだ。しかし、事実上の無罪判決の理由はそれだけではない。国内のどこかに隠されている数億元の資金の在り処を聞き出し、国庫に入れようとしているのだ。