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朝鮮半島のガスの歴史は古い。ソウルで都市ガスの供給が始まったのは1909年11月だ。次いで、釜山でも1912年の8月からガスの供給が始まった。

ソウルに遅れること約30年、1930年代末に平壌でもガスの供給が始まった。しかし、いずれも供給地域はごく限られた地域に限られていた。

最も都市化の進んだソウルでも、ガスが使えたのは8万世帯のうち1万世帯ほど、朝鮮半島全体では2万世帯にも満たなかった。韓国で都市ガスが普及するのは1980年代以降のことだ。

一方、北朝鮮ではごく一部を除いて「石炭」が家庭用燃料として使われている。しかし、極寒の北部山間地域では、安くて火力の強い「薪」が好まれてきた。そのトレンドが最近変わりつつある。

最近、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の市場にはガスが登場。人気商品となっている。小さなガスボンベではなく、大き目の「プロパンガス」のボンベだ。

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恵山出身の脱北者によると、大都市の平壌や咸興(ハムン)でも「ガスは、金持ちの家でしか使えなかった」と語る。恵山市の住民もガスの存在は知っていたが、見たことすらなかった。しかし、最近ではプロパンガスのボンベが見られるようになった。これについて住民らは「生活レベルが上がった」と得意げな様子だという。

しかし、ガスボンベは誰でも気軽に買えるようなものではない。幹部、トンジュ(金主、新興富裕層)、北朝鮮在住の華僑、韓国に脱北した親戚や家族から仕送りを得られる人に限られる。

現在、20キロ入りのプロパンガスのボンベは1本50万北朝鮮ウォン(約7500円)で売られている。コメ90キロ分に相当する額だ。ボンベ1本で20日間使えるというが、50万北朝鮮ウォンは一般庶民のワンシーズンの薪代に相当する額だ。

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日本でも韓国でもガスは「あって当たり前のもの」にすぎないが、北朝鮮では誰もが羨む「富の象徴」なのだ。