慢性的な電力難を解消するために原子力発電所の建設が進められている、との噂が北朝鮮国内で広がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えたものだ。

慈江道(チャガンド)の情報筋によると、最近幹部を対象にして開催されている政治講演会で原発の話が頻繁に取り上げられている。今年の夏には、朝鮮労働党創建70周年を契機に、原発で発電された電気が供給されるようになるという噂が出回っていた。

煕川(ヒチョン)1号発電所のために建設された龍林ダムは、元々原発の冷却水を確保するためのものだったという噂や、白頭山英雄青年発電所の3号発電所や漁郎(オラン)発電所も、実は原発だという噂も出回っているとのことだ。

南浦(ナムポ)市在住の情報筋も「我が国も核を保有するようになったので、核技術と財源を原発に投入できる条件が整ったと幹部たちが宣伝している」「韓国や日本では海辺に原発があるが、有事の際に攻撃されれば大変なことになる。そこで、北朝鮮は山奥に原発を建設しているとの噂が流れている」と語った。

複数の情報筋は「幹部が公の場で繰り返し原発に言及しているだけに、単なる噂ではないだろう」と見ている。

一方で、噂を否定する意見も強い。匿名の工学関係者は「龍林や白頭山は水資源の乏しい場所なので、原発が立地できるとは思えない」と語った。軽水炉型原発には、莫大な量の冷却水が必要になるが、これらの地域ではそれだけの水を確保するのは無理だということだ。

「原発を建設するなら南浦や黄海南道(ファンヘナムド)の新浦(シンポ)などの海に面した地域が適している」「それにもかかわらず、北朝鮮が内陸で原発建設を行っているとしたら、別の用途である可能性がある」と指摘した。

内陸に立地した原発は、米国では決して珍しくない。しかし、そのいずれも安定した水源が確保できる大河や湖のほとりにある。今回、取り沙汰されている煕川1号発電所は、清川江(チョンチョンガン)、白頭山英雄青年発電所は西頭水(ソドゥス)に面している。

いずれも下流は大きな川だが、上流の水量は決して多くはない。また、朝鮮半島の北部は雨の少ない気候でもあり、原発に必要な水が確保できるのか疑問だ。一方、漁郎は海に面しており、水の確保に問題はない。

噂の真偽はともかく、10月10日の朝鮮労働党創建70周年の日に、原発からの電気が供給されたという情報はない。

北朝鮮は、米国との枠組み合意に基づき、核兵器の開発を凍結し、施設を最終的に解体することを条件に、核兵器の開発に必要なプルトニウムが生産しにくい軽水炉型原発の建設を受け入れた。咸鏡南道(ハムギョンナムド)琴湖(クムホ)地区で建設が進められていたが、北朝鮮は合意違反を繰り返した結果、建設は中断された。

その後、2012年になって中国との合意で40万キロワット級の羅先(ラソン)に原発が建設されると韓国の中央日報が報道したが、処刑された張成沢氏が関与していたためか、その後の進展は見られない。