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北朝鮮の金正恩氏が今年10月に下した「海産物輸出禁止令」が一部撤回されたことが明らかになった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は「10月初旬に海産物の輸出が全面ストップし、行き場を失った海産物が市場に放出され、値段が下がった」と語った。輸出禁止令は、10月10日の朝鮮労働党創立70周年記念日を前にして下されただけあり、住民の間には「もしかして魚の特別配給があるのでは?」という期待感が高まった。

しかし、それはぬか喜びに終わった。

海産物は、軍部隊、建設労働者、幹部たち、平壌市民には配給されたものの、地方の住民に配給されることはなかった。その代わりに市場に大量に出回るようになった。

普段はめったにお目にかかれない高級魚を受け取った人々は大いに喜んだ。それ以外の庶民も魚の値段が下がったことは喜んでいるものの、配給がもらえなかったことで失望しているようだ。また、値段の暴落により、市場の魚商人も浮かない顔だったという。

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北朝鮮社会に混乱をもたらした「海産物禁止令」だが、指示から1ヶ月も立たないうちに一部撤回が伝えられた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の別の情報筋によると、海産物輸出禁止令が下されてから数週間経った10月末頃、金正恩氏の新たな指示が下された。

その内容は「加工品は輸出してもよい」というもので、それを聞いた外貨稼ぎ企業は、保有している魚介類を乾燥させる作業を一斉に始め、てんやわんやの大忙しになったという。

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禁止令が一部撤回された理由は「魚を加工して輸出すれば高く売れるから」だという。

ところが、この指示が裏目に出てしまった。中国に輸出した干し魚が安く買い叩かれてしまったのだ。「同じ北朝鮮産の海産物でも、生のものは中国人に人気があるが、乾物は信頼できないとの理由で不人気」(情報筋)だからだ。

北朝鮮産と書かれたままでは売れないので、中国の業者は加工品の原料にしてしまったため、さらに値段が下がる結果を招いた。中国の業者からは「生の魚を輸出してくれ」という催促が届いているという。

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金正恩氏は「高く売れるから加工しろ」と指示を下したことで、当初の「人民に魚を食べさせる」という大義名分も失い、値段も下がり貴重な外貨も失う結果を招いてしまった。中国の消費者の好みを知らないのに、余計な口出しをしたことで、金正恩氏は人々の信頼をさらに失う結果を招いてしまったのだ。