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当局の協力を得て撮影されたロシア人監督のドキュメンタリー映画が、大きな波紋を引き起こしている。英紙「ガーディアン」によると、北朝鮮当局が、この映画の上映阻止に乗り出したという。

北朝鮮当局が上映阻止に乗り出した映画「アンダー・ザ・サン」は、ビタリー・マンスキー監督によって製作されたドキュメンタリー映画だ。先月、エストニアのタリンで行われたブラックナイト国際映画祭で上映された。

映画は、「平壌では一般的」とされる家庭の日常を描いている。家の娘「ジンミ」が共産主義青年団に入る過程や、光明星節(金正日氏の誕生日)のお祝いを準備する過程など「日常の風景」が込められている。

映画はマンスキー監督と北朝鮮当局が共同制作し、台本は北朝鮮が自由に変更できるようにした。ロケの場所も当局が選定し、関係者の指導のもとに撮影され、すべて検閲を受ける。しかし、平壌に1年間滞在する中で、監督は徐々に考えが変わる。そして、「ある手法」を使ってすべてを暴露することを決意する。

その手法とは「録画スイッチを入れたままのカメラを置き去りにする」さらに、北朝鮮のプロパガンダが作られる過程も撮影。当局の関係者が「理想の家族」のイメージを作り上げるために、出演者のセリフ、座る場所、微笑むタイミングなどを事細かく指導しているシーンを暴露している。

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例えば、主人公の少女が「キムチは老化とガンを防ぐ」と語る「セリフ」では、当局者が満足するまで何度も撮り直しさせられた。また、工場長が労働者の生産性の高さを賞賛する演説のシーンでは、「盛り上がりが足りない」と何度も撮影させられた。

さらに、また、金日成氏、金正日氏の銅像に捧げられた花を、無造作に撤去するという「担当者が処刑されかねない」衝撃的な舞台裏も暴露してしまった。

また、映画のナレーションと字幕を異なる内容にする手法で「創作された日常」を暴露する。例えば、ナレーションでは主人公の父は被服工場の労働者と紹介するが、字幕では「実は彼は記者だった」と後にわかったことを紹介するという具合だ。

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監督はガーディアンとのインタビューで「真の北朝鮮の姿を込めた映画を撮りたかったが、あの国には我々の考えるような日常の風景は存在せず、あったのは『日常の風景というイメージ』だけだった。そこで私たちはその『嘘の真実』を映画にした」と述べた。

ところが、この映画に公の場で噛み付いたのは、北朝鮮ではなくロシアだった。監督はロシア政府からの助成金を受け取っていたからだ。

タリンでの上映後、ロシアのミハイル・シュヴィトコイ元文化相は、ラシースカヤ・ガゼータ紙に「映画への国の助成金を申請した際には『友好協力』という名目だったはずだ」と批判した。

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ブラックナイト映画祭のディレクターのティーナ・ロック氏は北朝鮮政府関係者から映画の上映を取りやめるようにと強く要求されたという噂を否定しつつも、圧力があったことは認めた。

監督は「プロパガンダそのものがプロパガンダへの対抗策となりうる」「その両方を意味を持つレニ・リーフェンシュタールの『意思の勝利』のような映画と撮りたかった」と述べた。

「意思の勝利」は、1934年のドイツのナチス党大会を撮影した記録映画で、ナチスの党勢を拡大する効果をもたらした一方、戦後はナチスの恐怖を伝える意味が付与された。