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北朝鮮の行政組織で、末端中の末端に位置するのが事務長、班長などの「長」。住民と直接顔を合わせ、便宜を図ると同時に、統制も行うポストだが、金正日時代までは、単なる「パシリ」に過ぎず、不人気職種だった。

ところが最近になって、この「長」が大人気で、実質的な権限は中間幹部を超えるものとなっている。その人気ぶりは、「長」のポストがカネで売り買いされるほどだ。理由は、様々な「供出金」のネコババが可能だからだ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、清津(チョンジン)市の浦港(ポハン)区域の住民は、人民班長(町内会長)の執拗な訪問に頭を抱えている。

班長は、各家庭を訪れては「現在市内で建設中の青少年文化施設『未来園』の建設費用2万北朝鮮ウォン(約300円、コメ4キロ分)を払え」と催促する。

道端で顔を合わせると「カネはまだか」としつこく言う。もし、払わなかったり払えなかったりしたが、延々と嫌味を言われるという。

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こうした費用は、名目上は中央からの指示で、人民班長が国の代理で徴収しているが、その過程で不正が多発。サバを読んで指示されたより大目に徴収し、差額を「ネコババ」するのだ。たとえ数千北朝鮮ウォンでも、数十人、数百人から何度にも渡って集めると「チリも積もれば山となる」だ。

今年8月には市内の水南(スナム)区域楸坪洞(チュピョンドン)の事務長が、3000万北朝鮮ウォン(約45万円)を横領していたことが発覚し、保衛部(秘密警察)に逮捕される事件が発生している。

しかし、情報筋は「3000万北朝鮮ウォンの横領なんて序の口だ」「浦港区域青松(チョンソン)3洞の事務長は、莫大な額のワイロを中央の高級幹部に渡しているため、どんな不正を働いていても誰も手が出せない」と語った。

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横領額について、情報筋は明らかにしていない。しかし、浦港区域の洞(町)一つあたりの平均人口は7400人であることを考えると、一人から2000北朝鮮ウォンを横領したとしても、1480万北朝鮮ウォン(約22万円)となる。これが頻繁に行われるとなると、北朝鮮の庶民からすると天文学的な額のカネが事務長の元に転がり込むというわけだ。

事務長のポストはカネで売り買いされているが、現在の相場は5000人民元(約9万6000円、650万北朝鮮ウォン)。つまり、それなりの人口がいる地域なら、あっという間に「モト」が取れてしまうのだ。