金氏王朝確立に立ちはだかる障壁
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面2011年12月、金正恩は、金正日の後を継ぎ、北朝鮮は金日成氏から続く三代世襲国家となった。基本的に、王朝は血族によって世襲される。北朝鮮が目指す先にあるのは、故金日成を始祖とする血族、すなわち「白頭の血統」を柱とした王朝、「金氏朝鮮」だ。
しかし、金正恩が王朝体制を確立するためには、実母・高ヨンヒの存在は最大の壁となって立ちふさがる。
帰国者たちが、北朝鮮で辛苦をなめたのは、単に貧しい国だったからではない。帰国者=よそ者ということで差別されたからだ。北朝鮮には「出身成分」という独特の身分制度がある。上から「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の3種類に分けられるが、一部の能力を持つ者以外の大部分の帰国者は「敵対階層」に位置づけられた。
最下層の高ヨンヒは、どのような足跡を歩み、ファーストレディーになることが出来たのだろうか。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面※一般的に、高ヨンヒは「高英姫」と記されるがこれは間違いである。正確な漢字名は不明だが、彼女が舞踊家だったことを考えると「踊(ヨン:용)」の字を取って踊姫(ヨンヒ)ということが考えられる。
【連載】金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈(2)偶像化に立ちはだかる実母「高ヨンヒ」
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。