北朝鮮のプロパガンダ拍車をかけたのが、日本のメディアだ。帰国船が新潟を出港する12月14日付の日刊紙を見てみると、朝日、読売、毎日、そして産経新聞を含む主要全紙が、帰国事業を「美談」として報道している。
産経新聞は、社会面で在日本大韓民国居留民団(民団)をはじめとする「帰国事業反対派」の抗議行動、阻止行動を「悪質な妨害」「テロ情報」と報じるなど、現在の北朝鮮に対するスタンスとは、正反対の報道内容だった。
帰国者たちの怨嗟の声
さらに、同紙は、帰国者のその後を伝えるため、北朝鮮で現地取材。1959年12月27日付の2面で「躍進する北朝鮮」「焼土から立ち上がる」と、北朝鮮のプロパガンダ紙さながらの論調を展開している。