地元の住民にも愛飲されてきたが、今では水源に近寄ることすらままならなくなった。金一族が独占したからだ。
1991年に道路が建設されたことをきっかけに、護衛総局が管理をはじめた。水源地のまわりに鉄条網が張られて、入れなくなってしまった。
護衛総局の要員は、わざわざ40キロも離れた平壌から訪れ、金正恩第1書記のための飲料水を汲んでいく。それも毎日だ。理由は、「元帥様(金正恩氏)に宵越しの水を飲ませるわけにはいかない」
「宵越しのものはNG」は水だけではない。なんとタオル、下着、歯ブラシに至るまで身の回りのものは一度使ったらすべて廃棄処分しているというのだ。
金正恩氏の口に入る食べ物、飲み物のみならず、直接肌に触れるものは厳重な管理のもとに置かれている。万が一、問題が生じたら責任問題として担当者や関係者が処刑されてもおかしくはない。つまり、そういったリスクを避けるためにも、過度な管理をせざるをえないわけだ。