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北朝鮮では、社会主義計画経済が崩壊し、猛スピードで資本主義化している。この波は、風俗産業、とりわけ売春ビジネスにも及んでいる。

北朝鮮にも売春はあった。90年代中頃からの深刻な経済難を背景に、家族を養うために女性が売春に走らざるをえない状況が生まれ始めた。こうした売春は「生計型売春」とも呼ばれ、デイリーNKが入手した現場映像でも、その実態が垣間見えてくる。

一方、5年前に流出した内部資料からは、女子大生らによる売春行為をはじめ、北朝鮮青少年の「乱れた性」の実態が、明るみになった。なかには、携帯電話欲しさに売春するという、いつかどこかで聞いたようなエピソードもある。

もちろん、北朝鮮当局も、売春斡旋業者を銃殺にするなど、厳しい措置を取ってきた。しかし、冒頭に述べたように、社会主義をスローガンにした国家の計画経済は事実上、破綻。売春をはじめとする裏ビジネスが、ありとあらゆる形で経済に組み込まれようとしている。

近年では、売春も産業化、組織化が進み、客が払う料金も、相手をする女性の年齢によって差がつけられるようになった。

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さらに、平壌市内のバス停は、売春斡旋業者が集まり、あたかも「風俗案内所」のようなスポットと化しており、日本のフーゾクにありがちな写真指名システムも導入しているという。

北朝鮮当局による摘発や取り締まりが行われているはずだが、ワイロを駆使して取り締まる立場の保安員(警察官)を抱き込むーーこうして、売春ビジネスは組織化して、拡大しているようだ。そして、この裏にはかなりの権力者や、当局に強力なコネを持つバックの存在が見え隠れする。

現在のところ、こうした組織的な売春ビジネスは、首都・平壌ぐらいでしか見られないという。しかし、今後は地方にも拡散されながら、より変化していくことは止められないだろう。

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同時に、北朝鮮当局の取り締まりが厳しくなることも間違いない。実際、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、金正恩第1書記は、「外国人相手に売買を行った者は銃殺せよ!」と指示。北朝鮮風俗業界が大打撃を受けたという。

しかし、繰り返すが、売春ビジネスが横行する最大の要因は、深刻な経済難や貧富の格差が極大化した歪な経済状況だ。

金正恩体制が、いつまでもこうした建前にこだわり、杓子定規に「我が国に売春のような退廃的ビジネスは、存在しない」と主張しているようでは、巧妙化し拡大する売春ビジネスの横行を食い止めるのは、とうてい無理だろう。