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国営商店の活性化が失敗した原因をいくつか整理すると、国営商店で売ることができる消費財の不足があげられる。つまり、消費財を国家が生産、あるいは輸入して、北朝鮮の住民を対象に販売しなければならないが、消費財が不足して国営商店が有名無実化したのだった。

脱北者たちは、北朝鮮内で消費財の生産が円滑に行われなければ、政府が運営する国営商店の商品の売り値もきちんと定まらないと口をそろえて話している。つまり、市場で売られている商品よりも安くして円滑に供給できてこそ、国営商店も競争力を持つことができるが、現在の北朝鮮の条件では事実上不可能ということだ。

市場では住民たちの自発的な販売や購買活動を通じて、市場経済の原理が具体的に現われるようになった。消費者が望む商品を販売者が素早く認識して、それを卸売り業者から買ってきて販売するという形である。競争で更に安く売られるようになり、また販売価格を下げるために様々な問屋と取り引きするようにもなる。だが、国営商店は北朝鮮政府が調逹するものだけ売る。国営商店には経済的な誘引力がないため、市場で販売されている商品の質や種類、何よりも価格で競争力が劣ってしまう。

2003年以後、国営の企業所や協同団体も市場で商品を売買することができるようになり、企業所や協同団体の市場依存度が非常に高まったのも注目するべき点だろう。企業所と協同団体の市場依存度が高まると、市場が弱まった場合、企業所と協同団体も一緒に弱まるという問題が現われた。

国家が工場や企業所に燃料や資材を正常に供給することができない限り、企業所や協同団体の市場依存度を減らすことは難しくなる。 2009年に北朝鮮政府の市場閉鎖措置が事実上失敗したのは、国家管理経済が市場に代わることができる状況ではなく、北朝鮮の計画経済の領域が市場に大きく依存していて、市場を閉鎖したら計画経済の領域でも大きな打撃を受ける可能性があるためといえる。

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北朝鮮政府が市場の統制に失敗した3つ目の理由は、政府の統制力が弱まったからだと思われる。北朝鮮や旧社会主義国家は、党と国家の機関が富の所有と分配を独占していた。北朝鮮政府も食糧をはじめとし、物質的な富に対する所有と分配の独占権を利用して、住民や官僚の忠誠心を強制してきた。政府に忠誠を誓わなければ、官僚たちは生きることができないシステムだった。

配給制が崩壊して市場が住民たちの基本的な生存基盤になるようになって、そうした忠誠システムも弱まってきた。配給が途絶えた後、官僚は住民が市場での活動を通じて得た所得の一部を手に入れて生活するようになった。官僚も生きるために市場に頼るようになったのだ。そのため、住民の生存を脅かす政府の指示が伝わっても、官僚がこれを積極的に執行することができないという現象が生じた。官僚が事実上、消極的な反発勢力に変わったのである。

政府の配給の量が減るほど官僚の忠誠心も弱まり、官僚の忠誠心の弱まりは政府の統制力の弱まりにつながった。2009年に市場転換の指示が下った時、事実上最も強く反発した勢力は官僚だったといえる。住民たちは出て来て反対することができない状況だったが、官僚は中央党に問題を提起する方法で、自分たちの要求を強く訴えたのだった。2005年からとられてきた市場統制措置が繰り返し失敗したのは、官僚の忠誠心と北朝鮮政府の統制力の弱まりが重要な原因だったといえる。

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北朝鮮政府が市場転換措置を公式に放棄したわけではない。施行を6ヶ月延期しただけだ。したがって、7月や8月の状況を見守れば、北朝鮮の市場の行方を予想することができるだろう。だが、これまで北朝鮮政府の市場統制政策が失敗を繰り返し、そうした失敗を生んだ原因と条件がすぐに変わりそうにないという点を考慮したら、7月と8月に電撃的に市場が閉鎖される可能性は低いだろう。(終り)