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「北朝鮮と武装勢力『イスラム国』(IS)は、武器取引などで連携しているのではないか?」

ISが台頭した当初から、一部で囁かれてきたことだ。実際にこうした発言をせずとも、そんな「可能性」がふと頭をよぎったことのある人は少なくないのではなかろうか。

そして韓国国会の情報委員会で18日、この問題が公式のやり取りの中で言及された。議員から「可能性」の有無について問われた国家情報院(国情院)が、「可能性は常に存在するが、顕著な証拠はない」と回答したのである。

これに対し、北朝鮮がキレた。対南宣伝ウェブサイト上で国情院側の発言について「同族に対する謀略とねつ造」「荒唐無稽な詭弁」であるとして、強く非難したのだ。

では、事実はどうなのか。

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筆者はほぼ確信しているが、北朝鮮とISの間にはいかなる協力関係も存在しない。むしろ、敵対関係にあると言えるだろう。

これまで何度か指摘してきたことだが、北朝鮮の金正恩氏はISと敵対するシリアのアサド大統領と盟友関係にあり、誕生日などの折に触れ、熱いメッセージを交換している。

また、北朝鮮メディアはシリア政府軍やロシア軍による「対テロ作戦」の成果を頻繁に報道し、パリ同時テロについては「凶悪なテロ事件」であると報じた。

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さらに、ISは北朝鮮国民を誘拐して殺害したとの情報もある一方で、両者が友好関係にあると思わせる情報は出てきていない。

ちなみに、ISはイスラム教スンニ派を自称している――彼らを正統なムスリムと見なさない声も強い――ようだが、彼らが敵視するイスラム教シーア派のモスクが平壌に存在することを知る人は少ない。

それでは何故、北朝鮮はISとの関係を疑われてしまうのか。最大の理由は、イスラム圏の国々と長らく武器取引を続けてきたことがあるだろう。紛争国に兵器を輸出する「武器商人」としての顔があるために、「ISにも武器を売っているのではないか」との疑念を呼んでしまうのだ。

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ちなみに、インターネット上で一時、大口径の機関砲で人間を粉々に撃ち砕く残虐動画が出回り、「北朝鮮の幹部処刑場面では!?」と噂されたことがあったが、検証してみるとイスラム国による捕虜の処刑シーンだった。

幹部をミンチにして処刑するような金正恩体制の「残虐イメージ」から、ISとの協力関係を連想する向きもあるかもしれない。

とはいえ、北朝鮮情報の豊富な韓国の政治家ならば、「北朝鮮とISが連携している可能性は限りなく低い」との認識を持っていて当然に思える。国会で敢えて言及するのは、単にリテラシーが低いのか、はたまた目立ちたがりなのか。

一方、「韓国空軍はIS空爆で実戦経験を積みたいがために、参戦の大義名分とすべく北とISの連携情報を欲しがっている」との不穏な噂もある。

ISは叩くべきだが、自国民を欺くようなことをしてはならない。