北朝鮮の急変事態に対する関心が徐々に高まっている。
これは北朝鮮体制が90年代の食糧難以後、全体的に瓦解しており、ポスト金正日体制も全く確立されていないからだ。いや確立されにくいというのがより正確だろう。
金日成が生きていた時に、金正日は後継者の準備を終わらせたが、現金正日体制のもとでは、全くそのような備えができていない。また金正日も権力の漏水を憂慮して、後継者体制の議論さえ禁止させている。
90年代半ばの食糧難以後の10年以上の間、北朝鮮の軍部や官僚社会には腐敗が蔓延し、人民の北朝鮮政府に対する離反は深まってきた。したがって、金正日に何かがあった時、北朝鮮では急激に混乱が起こる可能性が高い。
北朝鮮の急変時、北東アジアの秩序にも混乱が
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面もし金正日に何かが起きたら、北朝鮮国内でどのような状況が展開されるのか。
周辺国が最も憂慮しているのは、北朝鮮国内のひどい混乱と人道主義的な惨劇、大量の脱北が発生することだ。
“金正日の後継者体制が確立されておらず、軍部の実力者たちの間に内戦が発生する。内戦による無秩序の中で、各地方では人民たちの、この間たまった幹部に対する怒りが爆発して、各種の民間テロが発生する。国境統制機能性は麻痺して、国境警備隊も含む大量の脱北が、鴨緑江と豆満江の全域で起こる。東海岸の住民たちは、日本と韓国に脱出するために、先を争って船を確保しようとする。休戦ラインの一部の兵士は内戦を避けて韓国に脱出するために、DMZに爆弾を投げて地雷をとり除こうとする。北朝鮮全域が内戦、無秩序、テロ、復讐で無政府状態に落ち入る”
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面予想されるシナリオの中でも最悪のシナリオを使って見たものだ。国家安保とは、1%の可能性にも備えるものだ。したがって、その可能性が高くないとしても、最悪のシナリオに備えた計画は常に用意していなければならない。そしてその計画はいつでも実行されるように万全の態勢が整っていなければならない。
北朝鮮の急変事態は、韓国だけに影響を与えるものではない。北朝鮮からの大量脱北は、真っ先に中国にとって大きな脅威と不安になる。日本にとっても深刻な脅威になる可能性がある。アメリカも北朝鮮の急変事態は、北東アジアの秩序の急激な再編をもたらすため、傍観してばかりいることはできない。
韓米連合司令部が解体されても、韓国には在韓米軍が同盟軍として相変らず存在するはずだから、中国は北朝鮮の急変事態によって、アメリカの影響力が朝鮮半島全域に広がることを憂慮する。同様に、韓国とアメリカも中国が金正日に何かがあった後、中国人民解放軍が北朝鮮に進駐するか、それとも北朝鮮の軍部内の親中勢力を促して、北朝鮮を中国の衛星国家にするかも知れないという警戒心を持っている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また韓国と中国は、日本が北朝鮮の急変事態を迎え、自国の安保を理由に軍事の膨脹主義路線を合理化しようと考えていると疑う可能性がある。すなわち、北朝鮮の急変事態は、北東アジアの国際秩序の急激な再編をどうしても伴うのである。
周辺国、共通の計画持たねば
したがって北朝鮮の周辺国、特に韓国、アメリカ、日本、中国は、北朝鮮の急変事態に備えた多様な計画を準備しなければならない。別々に準備するのではなく、共通の計画を持っていなければならない。単独計画は周辺国の反対で行うことができないかも知れないからだ。互いに反対しない共通の計画だけが、実行可能な唯一の計画だ。北朝鮮の内戦勃発時に、その内戦をどのように鎮めて、秩序を維持するか、北朝鮮国内の治安はどのように維持するか、北朝鮮の代替政府の構成はどのようにするか、こうしたすべての敏感かつ困難な問題に対する代案を韓国、アメリカ、日本、中国は共有していなければならない。
ここで韓国はまず、アメリカとこの計画を共有しなければならないだろう。アメリカが韓国の同盟国であるため、アメリカをとばして中国や日本と先に協議することはあってはならない。必ずアメリカと先に合意案を作った後、日本、中国の順に協議しなければならない。そして急変事態に備えたシナリオの協議は、徹底的な秘密が確保されなければならない。事案が極度に敏感なものであるため、この内容は公開されてはいけない。
北朝鮮の急変事態に国連安保理が介入する可能性もある。問題は国連安保理がいくら迅速に介入して北朝鮮を安定させるかだ。国連安保理の迅速な介入を保障するためには、安保理の理事国であるアメリカや中国などが積極的に乗り出さなければならない。したがって、国連安保理の介入のためにもアメリカや中国が北朝鮮の急変事態のシナリオを共有することが必要である。
しかし、今の段階で急変事態に備えた政府間非公開対話をすぐ始めることは性急であろう。代わりに急変事態を主題にした学術、専門家の討論を活性化した方がよいだろう。これを通じて韓国、アメリカ、日本、中国政府の意見を間接的に確認して、意見を狭めることができるだろう。
韓国は北朝鮮の急変事態の対処方案を用意して、北東アジアの周辺国との公論を作る過程で、必ず主導的な役割を果たさなければならない。何といっても、北朝鮮の変化に最も大きく影響される所は韓国だ。したがって、韓国が北朝鮮の急変事態と、これによる北東アジアの秩序の再編過程を主導することができなかったら、韓国の国益が致命的な損傷を受ける可能性もある。