こうした経歴から、今回も数ヶ月の革命化教育を経て復活するだろうと見られているが、筆者は崔龍海氏が処刑される可能性は充分にあると見ている。
実は、崔龍海は昨年4月頃にも粛清説が飛び交った。元高級幹部の証言として「1ヶ月以上監禁されていた」という具体的な証言があった。筆者も時期や状況など、ほぼ一致する内部情報をまったく別のラインから聞いたことがある。
また、彼に対する過去の革命化処分は、故金日成氏、正日氏時代に受けたものだ。金正日氏は、崔龍海氏を革命化処分したが、兄弟のように仲がよかったという。つまり、パルチザン家系というだけでなく、金正日氏の温情まじりの復帰だったと言える。
しかし、金正恩氏は正日氏ほど崔龍海氏と仲がいいわけではない。少なくともこの数年間の二人の様子を見る限り、崔氏が正恩氏に必死でゴマをすってなんとか取り入ろうとする様子が見て取れる。一方、金正恩氏は先述のように一度粛清直前まで追い込んだ。朝鮮人民軍総政治局長という軍を統括する地位を与えたり、特使や代表団として中国や韓国へ送ったが、目立った成果を収めたわけではない。