平壌市内ではタクシーとその利用者は年々増えている。タクシーには料金メーターもきちんと装備されているが、料金単位は米ドル。もちろん北朝鮮ウォンでの支払いも可能ではあるが、なぜか5000ウォン(約75円)の追加料金を取られてしまう。一体どういうことか。平壌タクシー事情についてデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

平壌産院から退院する母子のための専用タクシー(画像:芦芦)
平壌産院から退院する母子のための専用タクシー(画像:芦芦)

北朝鮮ウォンを使うと「常識知らず」

生活レベルの向上とともに、車が増え、一部では交通渋滞も起きるほどになった平壌。とはいえ、外国の同クラスの都市に比べると圧倒的に車の数は少ない。

大多数の市民は地下鉄、路面電車、トロリーバスなどの公共交通機関を通勤通学の足にしている。しかし、公共交通機関は朝から晩まで混雑が激しく、地下鉄を除けばいつやって来るのかもよくわからない。

平壌の路面電車(画像:芦芦)
平壌の路面電車(画像:芦芦)

そこで生活に余裕のある人は、タクシーを利用する。料金は初乗り2キロが2ドル(約247円)で、以降1キロ毎に0.5ドル(約62円)ずつ加算されていく。平壌市民がタクシーを使うのは10キロ以上の遠距離の場合が多いという。

料金は米ドルか中国人民元で払うのが常識だ。北朝鮮ウォンでも支払いが可能ではあるが、紙幣の枚数が多くなり、レートの計算が面倒なのでドライバーから嫌がられ「常識のない人間」と思われてしまう。

例えば、料金が5ドルの場合、現在の闇レートが1ドル=8600北朝鮮ウォンなので、ウォン支払いの手数料を合わせると4万8000北朝鮮ウォンになる。最高額紙幣が5000北朝鮮ウォンなので、5000ウォン紙幣9枚に1000ウォン紙幣3枚、合わせて12枚の紙幣が必要になる。

米ドルなら5ドル紙幣1枚で済んでしまう。また、人民元支払いの場合は1ドル=6元と考えると30元、20元紙幣1枚に10元紙幣1枚で済んでしまう。人民元は小額紙幣の流通量が多いため、使いやすい。

追加料金を払わされたり「常識のない人」と思われたくない平壌の人々は、タクシーに乗りたいのに手元にドルや人民元がなければ、わざわざ両替して乗るとのことだ。